シンプルな写真だけど、能書きがつく。以下は読まなくても問題ない。
少し前に秋田県南部に点在する「鹿島様」の写真を掲載したことがある。鹿島様は人形道祖神のことだ。集落の入り口などに建てられ、集落を疫病や災難から守る役割を果たす。僕自身よく分かっていなかったのだが、人形道祖神には様々な呼び方がある。鹿島様というのは、鹿島神宮の祭神である武甕槌(タケミカヅチ)大神に由来するものと言われている。人形道祖神自体は様々な地域にあるが、何故か「鹿島様」は秋田県南部に集中しているという。僕は写真撮りであり、文化風俗を研究する立場にないが、何故そういうことが起きたのか、その理由を知りたいと思っている。
少し興味深いこととして、国道107号線(JR北上線)沿いのルートがある。秋田県南部の横手市から岩手県の湯田町を経由して、北上市に到達するルートである。このルートが道祖神が変形していくルートだと推測している。秋田県の湯沢市で作られる「鹿島様」は、力士型の典型的なタイプである。それが横手市に入ると「ショウキ様」と言われるタイプに近づいていく。岩手県との県境に近い山内黒沢地区の道祖神は、名称こそ鹿島様だが、その形態は完全にショウキ様タイプとなる。そして面白いことに巨大な男性器を有している。そして今回の写真は「岩手県湯田町の道祖神」だ。この秋田岩手の県境あたりが道祖神の風習がミックスされる地域にあたる。男性器は子孫繁栄を願う土着信仰のものを付け足したのだと思う。奥羽山脈を超えて花巻まで行くと、大沢温泉で「金勢まつり」という奇祭がある。巨大な木製の男性器(金勢様)が神輿に乗って練り歩き、最後は大沢温泉の大露天風呂に入浴させ、女性たちが跨ったり、ゴシゴシと手で洗い清めるのである。大丈夫なの?これ、と不安になるほどの奇祭である。この男根信仰は「尽きる」ことへの不安が根底にあるのだと思う。この場合は温泉だが、本来は「子孫」。恐らくは西洋医学が導入されるまでは不治の病であった腸チフスとか天然痘。一度流行れば村は壊滅状態となる。人が死ぬだけでなく、農作物も収穫できない。お家どころか、村ごと絶滅するかもしれない。疫病と災難は外からやってくる。それを追い払うだけでなく、来てしまったとしても、子孫繁栄で乗り越える。そんな役割を果たすのが、道祖神と男根の合体なのだと推測する。恐らく、この湯田周辺でかつて壊滅的な疫病流行があったのかもしれない。そんなこともいつか調べたいと思う。本当はもっと関連することを書きたいし、舌足らずの部分を補足したい思いもあるが、能書きは終わりにする。次回もう一度、別の道祖神を掲載する。
LEICA M10 MONOCHROME / ELMAR M24mm ASPH
原野の勃起上にはら見む
(昨夕、病棟で見た景色です。
現在、無事退院しました。)
根拠ありませんけど。
くれぐれも無理しないでくださいね。
写真の一物の上に赤とんぼが止まっていれば、風流でした。あるいは二匹繋がったやつが飛んでいても良いですね〜。