「有耶無耶」という言葉がある。物事がどうであるのか、はっきりさせないことを言う。秋田県にかほ市(旧・象潟町)と山形県遊佐町の間に「有耶無耶の関」という場所がある。ここが有耶無耶の語源となった場所との説がある。実は宮城県の川崎町など同様の場所は他にもある。謂れは同じようなものだ。難所の関に異形の怪物(秋田では手長足長、宮城は山鬼)がいる。人を攫って食べてしまう怪物だ。関の入口には鳥がいて(三本足のカラスともいわれる)、怪物がいるときは「有耶」と鳴き、いないときは「無耶」と鳴く。怪物がいるときに通行すると大変なので、この鳴き声を頼りにするのだが、これが語感が似ているので分かり難くいという話である。僕は言い伝えを初めて聞いたとき、これは朝廷側と蝦夷のやりとりを指しているに違いないと仮説を立てた。朝廷側に与しない非支配地域の住民は、しばしば異形の者として表現されている。関の逸話は、蝦夷支配地域と朝廷側支配地域の往来に関連したことなのだろう。異形の者といっても、実際のところ姿かたちは同一の人間である。服装や髪型などで多少の見分けはつく可能性もあるが、ほぼ区別がつかないと思った方が良いだろう。朝廷側につく者か、蝦夷側にあるのかを、TPOによって使い分けた者もいたに違いない。それを監視報告する立場の者がカラス(鳥)なのである。その鳥の判定も曖昧だ。だから有耶無耶なのである。後で調べたら、有耶無耶の関が蝦夷を防ぐ目的だったこと、それ自体は事実のようだ。
にかほ市(旧・象潟町)には、今でもその地が残っている。その住所たるや驚くばかり。「秋田県にかほ市象潟町関ウヤムヤノ関◯◯」なのである。例えば、秋田県にかほ市象潟町関ウヤムヤノ関15番地。こんな住所だったら、手紙を書くのも楽しいだろう。写真の集落がそれだ。
X-PRO3 / XF23mm F2R WR
おぼろげに聴いてはいたけれど 仮説も含めて楽しいです
その昔 秋田蝦夷 津軽蝦夷が暮らしていたのに 朝廷が征伐して追いやった歴史もありますね
僕の考察にが間違いも多々あるかもしれませんが、今後も触れていきたいです。
追伸:品川ゲートウェイの記事を拝見し、東京在住時(四半世紀は前ですが)、大井町(戸越に近い)に彼女がいて、デート後に家まで送っていったことを思い出しました。大森でバイトをしていたこともあります。東京は姿が本当に変わっていきますね〜。