新・エンゲル係数

肥満と痛風に悩まされながらも新鮮な食ネタを捜し求めて・・・

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2016年10月03日 | 気になるネタ

ノーベル医学・生理学賞が決まった東京工業大の大隅良典栄誉教授(71)は終戦間際の昭和20年2月、福岡市で4人兄弟の末っ子として生まれた。小さいころから生きものが大好きな昆虫少年だったが、理系の道に進んだのは、家族の影響が大きかった。

 「小学生のころ、東京の大学に通っていた12歳年上の長兄が帰省のたびに宇宙や生物、化学に関する子供向けの本を贈ってくれた」

 英科学者ファラデーの「ロウソクの科学」や八杉龍一の「生きものの歴史」など優れた本ばかりで、夢中になって読んだ。今でも挿絵まで覚えている。戦後で物資が乏しく、本が貴重だった時代。下宿暮らしで生活が苦しかったはずの長兄の気持ちが心にしみた。

 父親は九州大工学部で採鉱学を専攻する教授だった。理系に進んでくれたらという期待は「折に触れて感じていた」という。

 そんな環境で育つうちに、化学に魅力を感じるようになり、高校では化学部に所属。その後は当たり前のように東京大の理科2類へ進んだ。

 大学では設立されたばかりの基礎科学科を選び、4年間かけて科学の全分野を学んだ。大学院では大腸菌のタンパク質合成の制御解明に取り組んだ。当時としては意欲的なテーマで実験も楽しかったが、たいした成果は出せなかった。

それでも「自分が本当に面白いと思える研究をしているのだから、全然かまわないと思ってのんびりしていた」という。その姿勢を貫いた末、受賞対象となったオートファジーの機構解明という偉業を達成した。

 科学は世の中に役立つことをやらないといけないという最近の風潮に、反発を感じている。

 「そんなことばかり考えていると、研究は面白くなくなる。役立つことにとらわれず、自分の興味に素直になってサイエンスを楽しまなくては、新しいものは生まれない」

 近年は国の科学技術政策でも、基礎研究より実利に結びつく応用研究が重視される傾向がある。このため次世代を担う若い研究者には折に触れて、こうアドバイスしている。

 「やりにくい時代だけど、冒険して楽しいと思うことをやってよ。チャレンジしてみると、サイエンスはとっても楽しくなるよ」

 自身の性格は「細かいことにこだわらないタイプ」。だからこそ周囲の目を気にせず、自分の興味に基づく研究に集中できたと自己分析している。ひげを蓄えた“博士”らしい風貌がトレードマークだ。

 神奈川県大磯町で妻と2人暮らし。研究に疲れると、自宅周辺や東工大のキャンパスを歩いて四つ葉のクローバーを探す。「見つけるとほっとして、気分がよくなる。けっこう得意なんですよ」