東京日記
静岡県焼津市、藤枝市、北海道の札幌市にあるIT企業グループの経営者 松田敏孝の日記です。




日曜日の今日は午前9時起床。カオも洗わず、食事も取らず 即パソしていた(マイドです (^_^;) )。9:30頃 母親から電話が入る。「横須賀までお悔やみにいきたいだけんね、アンタ、一緒に行ってくれない?」  「??」一瞬なんのことやら理解できなかった。「なんで横須賀なの?」 聞けば父親の海軍航空技術廠時代の先輩が亡くなったとのことで、父親が亡くなったときその先輩は横須賀からお悔やみにきてくれたのだそうだ。
「横須賀の住所と電話番号はわかるだけんね、一緒にいってくれない?」。確かに70代の母親には行ったとのない横須賀に一人で行くということは難しいことなのだろう。「ふーん、わかった。いいよ」と言うことで急遽 横須賀に行くことに。

まだ東芝に勤めていた頃、2年間 横浜勤務を経験しているが、横須賀に行くのはその頃以来かもしれない。焼津から静岡。そこで東海道新幹線に乗り換え 小田原で下車。更に快速アクティーに乗り換え大船まで。そこから横須賀線に乗り換えて横須賀駅下車。そこからタクシーの運転手さんに住所を告げて、そのお宅を訪ねていくことは、実際 母一人では難しかったと思う。道中は久しぶりで話が弾んでおもしろかった。「(父の葬儀のとき)##さんもこんな風にして、遠いところを(焼津まで)来てくれただねぇ・・」としみじみと言うオフクロに、当時の人たちの「義理堅さ」を感じる。

本当に不思議なのだが、自宅から出かけるとき普段履いている革靴を履かなかった。下駄箱から以前 父親からもらった古い革靴をだして、それで行くことにした。その靴を履くのはもう何年ぶりだろう、普段自分はこんなことをしたことがなくて、玄関にヨメさんがだしてくれてある靴をそのまま履いてでかける。でも今日はなぜか理由はわからないけれど、そんなことをした。

お悔やみも済んで横須賀市内を歩いているとき、その靴の底がはがれて壊れてしまう。母親が「しょうがないね、じゃ、どっかで靴を買うかね?」と言ってくれたのだが、なんとちょうど目の前が百貨店のさいか屋だ。「さいか屋には靴屋が入っていると思うよ。じゃ、買おうか」と自分。

・・・! 「ひょっとしてこの靴はここで壊れるべくして壊れたのかな?」 そんな気がした。

靴屋さんでの靴選びはすぐに完了。母親が「じゃ、アタシが買ってやるよ」って買ってくれた。47歳にして母親からの思わぬプレゼント。父親からもらった古い靴が母親からもらった新しい靴に変わった。

店員さんに壊れた靴の処分をお願いするときに「思い入れのある靴なので丁寧に処分してやって下さい」とひと言添えた。店員さんは「はい」と言って笑っていた。

父親が青春時代を過ごした思い出の地、横浜・横須賀。今日そこで、仲良しだった先輩が亡くなり、自分が父親からもらった靴も横須賀で眠ることになった・・・。

家をでるときに父親が「横須賀に行くならオレも連れていけ」って自分に言ったのかな。なんとなく今頃、父親が横須賀でその先輩と想い出話に花を咲かせているような、そんな気がするのだった。

コメント ( 7 ) | Trackback ( )



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コメント
 
 
 
父の日 (りつ)
2005-06-20 08:21:54
今月の「東京日記」ベストワンエピソード!(あと10日残っているけど、決まり!)

としたかさんのお父様にとって何よりの「父の日」であったことでしょう。



店員さんに靴の処分を頼むときのとしたかさんの一言がいい感じです。
 
 
 
泣ける~ (とん)
2005-06-20 10:36:11
感動しました。泣けましたー。

一つ一つの出来事に、歴史や思いやりが感じられてとっても心があったかくなりました。

いいお話をありがとう!
 
 
 
不思議な日でした (としたか)
2005-06-21 02:05:01
りつさん、とんさん、コメント どうもありがとうございます。



なんだかとても不思議な日でした。

母親がぼくに電話してきたことも、行き先が父親にゆかりの横須賀だったことも、その日ぼくが特に予定がなかったことも、なぜか父親からもらった古い靴を引っぱり出して履いていったことも。

そしてその靴がさいか屋の目の前で壊れたことも。



なんだか偶然じゃないような気がしたのです。

とても不思議で、でもほのぼのとしたような、そんな感じの一日でした。
 
 
 
素直に、よいお話ですなあ。 (osamu)
2005-06-21 09:37:56
 私なら電話番号(と行き先の個人宅の苗字)がわかっているなら、カーナビ&電話番号検索してクルマで、と味も素っ気もなくなる所ですが、歩きで電車で、しかも思い入れのある靴を履いて、かつそれが途中で壊れて。。。(クルマじゃ靴は壊れないかもしれませんね)



 持ち物の一つだけでも、横須賀に行きたかったのは故人の遺志、を感じますね。
 
 
 
カーナビ (としたか)
2005-06-22 04:10:11
osamuさん、コメント どうもありがとうございます。



ぼくも一瞬、自動車で行こうというのが頭をよぎりました。でも、鉄道ファンだからかなぁ、久しぶりに横須賀線とか乗ってみたい気もして・・ (^^;) 。



確かに父親は横須賀に行きたかったんじゃないかな。その意思がぼくをあの日、横須賀に行かせたんだと思います。
 
 
 
“じぃ~ん”となりました (みぃ)
2005-06-22 14:03:16
もう、感動感動です。

とにかく、胸がいっぱいになりました。

そして、「義理堅さ」という言葉にすごく重みを感じ

いろいろなことを考えさせられました。



それから、これは個人的なことですが

としたかさんが行かれたさいか屋、幼いときによく行っていたので、懐かしくなりました。

恥をさらすようですが・・・

私、ここで御茶碗を割ったことがあるんです。

3歳の頃の話ですが(^_^;)



 
 
 
義理堅い (としたか)
2005-06-23 08:44:20
みぃさん、コメント どうもありがとうございます。



そうですね、今、いろいろなものが急速に失われていっていますが、義理堅さみたいなものも希薄になってきているような気がします。



母親たちの世代は今よりも明らかに義理堅いような気がして。いいところはぼくらもまねていくべきですよね。



みぃさんは横須賀にいらしたのでしょうか?

ベース(米軍基地)があって、かっこいいですよね。
 
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