世界最大にして最強の電器市場。50年まえのアメリカ製スピーカーの逸品も、3日まえに店頭に並んだ新型マザーボードも同じように並列され、それぞれの技術の底知れぬ輝きを放っている。
盛んに売買がおこなわれているのは製品だけではない。バルク売りのメモリや記憶装置、精密抵抗やコンデンサー、戦前の変圧トランスに東欧や中国から出荷された真空管など、裏通りの電子部品ショップはそれぞれに専門化して、目もくらむ階層構造をつくりあげている。しかもどの商品も、露天のマーケットに並ぶトマトやジャガイモのように気安く投げやりに売られている。
この街ではMOやDVD-RAMがティッシュペーパーで、液晶ディスプレイやハードディスクが特売のステーキ肉だ。どこか別の国でなら宝物のように扱われる4チャンネルのデジタル・ストレージ・オシロスコープは、地下通路の端でほこりをかぶり、通行人の蹴るにまかせられている。メモリはひとつかみいくら、ジャンク品のパソコンはキログラムいくらの目方売りだ。ここではハイテクは蹴り飛ばして扱うものなのだ。それはテクノロジーを扱う唯一ただしい方法でもある。
この街の帯電した空気が新しい世代の子どもたち、つぎの千年紀をになう人間を生み育てることになるだろう。
石田衣良さん著「アキハバラ@DEEP」より抜粋。
すごくカッコよく秋葉原を描写していると思う。家電からパソコンへ。パソコンからコンテンツへ。常に時代の最先端の商材を扱いながら秋葉原は発展してきた。決しておしゃれではないけれど秋葉原という街を自分もすごくカッコよく思う。この街に集う多くの技術少年たちから次の時代を担う人材が輩出されると信じているし、自分自身もそういった空気の中で生活していたいと思っている。
今、秋葉原はコンテンツの街に変貌し始めている。アキバでさかんに流通し始めたコンテンツはマンガやアニメ。学校教育の現場からは疎まれ、眉間にしわを寄せる大人たちをよそに、世界的にも圧倒的な競争力を有し、外貨も稼ぎ、更に日本のイメージアップにも大きく貢献している巨大最先端産業だ。
どちらかというと社交的なことが苦手で、ITやコンテンツにめっぽう強い少年たちを世間では「オタク」と呼んでいる。オタクたちは学校や大人たちの間ではあまり評価されてこなかったけれど、学校の「エリート」たちがその後中央官庁に入り、超無責任な運営をしていることに比べたら 日本経済において 遙かに大きな貢献をしていると確信している。
アニメなどのコンテンツはブロードバンドにのって全世界に情報発信される一方、コスプレ喫茶などはアニメの世界を現実の世界に再構築して、街の集客につなげるアキバ一流の知恵のようにも見える。秋葉原の扱う商材がどのように変貌しても、最先端の情報とコミュニケーションを求めて若者たちが集うこの街の風景は変わらないように思える。
多くの技術少年たちの 聖地 アキハバラ。自分も活力溢れるこの街に住み、「最先端」の普及に取り組んでいきたいと思う。
| Trackback ( 0 )
|
今日はアキハバラ@DEEPの連中みたく、寝ずにパソコンに向かっていました。でも、お風呂ははいりました。
石田さんの文章もかっこいいですが、としたかさんの文章もかっこいい! 何をされている方かな……と横をみたら、企業経営者ですか(@_@) おみそれしました。
評価されないこともあるというだけ。15年も前にPCいじってりゃ、それは評価にならなかった事実はあるけど。オタクの定義をどこまで広げているのかわかりませんが、電気電子系、ソフト関連、メカトロ系の学生、普通にアキバには出入りしてますよ。
氏のコメントを読むと、“御自分はあくまで外野”というポジションを崩されないようですが。。勿体無いですよ。
子供と一緒にエレキットにでも取り組んでみては。。
http://www.elekit.co.jp/index.php
半田付け失敗こいて部品壊してもアキバ在住なら10分で調達可能。それも心配なら電子ブロックとかは?
http://www.denshiblock.co.jp/
ちょっと覗いてみたい向きにはツクモパソコン本店3Fのロボット館でも覗いてみては?
高校までの学校が言うところの“教育”が、技術的観点からすると、もはや知能障害と感じるくらいに遅れているんだと言うことがわかりますよ。
経営者と言っても小さな会社ですから、営業から経理から人事から、なんでもやってます (^^;) 。
秋葉原、いいですよね。住んでますます好きになりました。つたない文ですが、いろいろ書いていきますので、また見てやって下さいませ。
osamuさんもコメント、どうもありがとうございます。
ぼくらの世代(40代です)の仲間と話すとぼくも十分「オタク」らしいのです。
「自分はあくまで外野」というつもりはないのです。これからも現役気分でがんばります。
仮にオタクが蔑称であるならば、オタクではない方々は、多分見てもそのコード及び回路図等技術要件のわからない携帯電話や炊飯ジャー等等、使うんじゃないよ、とは思います。
Welcome to OTAKU's side.(なんか嬉しくない表現。。)
ぼくも厳密に考えてはいませんが、「ブログへの取り組みがはやくて、日々日記のようにいろいろなことを書いている人」も40代的の一般的ビジネスマンには「オタク」に含まれるみたいです。
決して蔑称だとは思いません。一種の親しみが込められていると思っています。ただ、そうですね、「自分もそうなりたい」というような、そういう評価ではないように思います。