帯とけの古典文芸

和歌を中心とした日本の古典文芸の清よげな姿と心におかしきところを紐解く。深い心があれば自ずからとける。

帯とけの枕草子〔八〕よろこび

2011-02-26 06:01:15 | 古典

 




                      帯とけの枕草子〔八〕よろこび


 

 言の戯れを知らず「言の心」を心得ないで、君が読まされ、読んでいたのは、枕草子の文の「清げな姿」。「心におかしきところ」を紐解きましょう。


 

枕草子〔八〕よろこび

 

よろこびそうすることこそおかしけれ。うしろをまかせて、おまへのかたにむかひてたてるを、はいしぶたうしさわぐよ


 

文の清げな姿


 男の慶び申しの儀式は、おかしいことよ。衣の後ろを引きずるに任せて、御前の方に向かって立っていてよ、礼して舞踏して、音立てて動き回るよ。


 

文の心におかしきところ


 女の悦びを奏でることこそ、おかしいことよ、あとは君まかせで、お前の方で、向かって立っているおをよ、いただき、足ばたばたして、さわぐよ。

 


 「よろこび…慶び…喜び…悦び」「そうする…奏す…申し上げる…奏でる」「うしろ…裾…衣の後ろ…身の後ろ…出来事の後のこと」「おまえ…御前…を前」「を…感嘆詞…お…男」「前…身の前」「はいし…拝し…授け…授かり」「ぶたう…舞踏…舞の形、袖を左右にひるがえし足踏みをする」。


 

この章は、次に記す僧が大寺の別当に任じられ慶び申す日の話の前置きか。女の悦びのことは余りの情。

 


 伝授 清原のおうな


 
聞書  かき人しらず    (2015・八月、改訂しました)

 枕草子の原文は、岩波書店 新 日本古典文学大系 枕草子による。