情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、波束の収縮問題、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

「環境から情報が入る」は間違い!

2021-12-19 16:24:12 | 情報と物質の科学哲学
環境から情報が入るという言い方は日常的に使われます。
しかし、これは事実に反するのです。

外界から感覚受容器に入るのは、物理的刺激に過ぎません。
その刺激が受容器のしきい値より大きいと、受容器はパルス列を出力します。
このパルス列は、刺激物質に関する情報を感覚野に伝えます。

つまり、外界からの刺激は受容器によって初めて情報化されるのです。
従って、外界から情報が入るというのは間違いです。
この言い方は便利ですが、情報概念の本質を見逃す大きな原因になっています。

情景などの情報が外界にあるとするのは錯覚です。
情景などはすべて脳内部で情報化されて意識化されるのです。



情報創発という概念の必要性

2021-12-17 09:42:33 | 情報と物質の科学哲学
創発(そうはつ、英語:emergence)とは、部分の性質の単純な総和にとどまらない性質が、全体として現れることである。(Wiki)

本ブログで多用している創発という用語は、この意味ではありません。

測定器は測定値という情報を生成しています。
この測定値情報という概念そのものは、物理学(物理法則)にはなく、測定者の脳内部にあるのです。
この事実はあまりにも当然すぎるので、物理学者は注意を向けません。

しかし、測定に関する現象を説明するためには、物理法則に含まれない測定値情報という概念が不可欠なのです。
測定器という物質が非物質的な測定値情報を生成している状況を理解するために、情報創発という概念を提案します。

クオリアの神秘性を解消する

2021-12-15 11:13:22 | 情報と物質の科学哲学
感覚受容器には外部入力物質を情報に変換する創発的機能があります。
各受容器から出力されるパルス列は、受容器の如何に関わらず同じ形式のパルス列です。

これらのパルス列は各受容器に対応する感覚野に入力されます。
各感覚野は、パルス列が表現する情報からそれぞれのクオリア(匂いや痛みなど)を創発します。
クオリアは、受容器情報の読み取り結果なのです。
進化の過程で脳が感覚野という神経網を獲得し、その感覚野がクオリアを創発するのです。
感覚野にはそのような創発機能があるのです。

クオリアをこのように捉えればクオリアの神秘性を解消できるのです。

脳の進化の過程をみると初期の哺乳類には運動野や感覚野のみしかないので、クオリアによって外界の情報を獲得しています。

このようにクオリアには立派な機能があるのです。
クオリアに神秘性を帯びさせる必要は全くないのです。
クオリアがなければ動物は生きられません。

霊長類になると運動野、感覚野に加えて大脳皮質連合野が形成されたのでクオリアを初め、言語や高度の知能を獲得しました。



必要条件による説明と十分条件による説明

2021-12-15 10:51:31 | 情報と物質の科学哲学
物質現象の説明には必要条件によるものと十分条件によるものとがあります。

物理学者は、物質からなるシステムは物理法則に従うのでその現象は物理法則だけで説明出来ると考えます。

脳も物質からなるシステムなので物理法則だけで説明できる筈だと考えます。
しかし、情報概念が欠かせない測定器の現象でさえ物理法則だけでは説明できないのです。
物理法則による説明に加えて情報概念による説明が不可欠です。
しかし、物理法則に情報概念はありません。

測定器、コンピューター、脳などにおける物質現象が物理法則に従うことは必要条件です。
しかし、これらのシステムには物質現象としての側面のほかに情報現象(情報概念が関わる現象)としての側面があるのです。
この情報現象を説明することが十分条件になります。

心身問題は擬似問題 心身問題の前に情報物質問題の解決を!

2021-12-15 09:56:25 | 情報と物質の科学哲学
心と脳という異質なもの同士が何故影響し合えるのかを問う心身問題は、未だに哲学、心理学、脳科学などで議論され続けています。

脳の神経回路網には膨大な情報が行き来していることは脳科学で実証されています。
それらの情報は、クオリアや意識の創発に影響していることは疑いありません。
しかし、それらの情報が脳でどのように定義され、どのように表現されているかについては殆ど解明されていません。

それにも拘わらず、物理主義者、哲学者、心理学者、脳科学者らは神経回路網に流れる情報の部分を無視して神経回路網という物質と心という非物質とを直接結びつけて議論しています。
このような態度は、極めて非科学的なものです。

神経回路網における現象の説明に情報概念が不可欠なことは前述の学者も知っています。
しかし、情報概念は物理学にはありません。

このサイトの一連のブログでは、物質と情報という異質なもの同士が何故影響し合えるのかという情報物質問題について様々な角度から分析してきました。

脳内部でも当然この情報物質問題がある筈です。
脳科学者らは、心身問題について空しい議論を続けるよりも先ず情報物質問題を解決すべきなのです。

詳細は、パソコンサイト 情報とは何か 情報と物質の関係から見える世界像 を是非ご覧ください!