情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

測定系と感覚系の類似点

2021-11-29 10:51:40 | 情報と物質の科学哲学
測定系は、測定器と測定者による測定値の読み取りから成ります。
(測定器)
基準物理量と入力物理量との比を出力します。
この比は無次元の数値なので元の物理量に関する情報は失われます。
(測定者による測定値の読み取り)
測定者が測定値に物理量の次元を付与して入力物理量の情報を得ます。

感覚系は、受容器と感覚野による受容器出力の読み取りから成ります。
(受容器)
入力物理量が受容器のしきい値を超えるとインパルス列を出力します。
このインパルス列は、入力物理量に関する情報を運びます。
各種の受容器の出力はどれも同じ形式のインパルス列なので入力物理量の次元は失われます。
(感覚野による受容器出力の読み取り)
各受容器に対応する感覚野は、受容器出力の情報を読み取ります。
その読み取り結果がクオリアとなって意識されます。
これが正にクオリアの正体なのです。
クオリアには入力物理量の次元を解釈する機能があるのです。

以上の事実は、測定系と感覚系に類似点があることを実証しています。


神経系統による物質・エネルギー・情報の分類

2021-02-27 10:22:20 | 情報と物質の科学哲学
神経系統は、物質、エネルギー、情報の分類を実行しています。

1.物質の分類
感覚受容器には外部からの入力物質を分類する機能があります。
(嗅覚器)入力分子の分類
(味覚器)入力分子の分類
(触覚器)圧力強度の分類
(視覚器)光の波長の分類
(聴覚器)音の波長の分類

これらの受容器は、入力物質に関する情報を電気パルスに担わせて脳回路に送ります。
このとき注意すべきは各受容器からのパルスは全く同一形式のものなので、パルス自体を調べてもどの受容器からのものであるかを区別することが出来ないということです。

ところが、これらのパルスが各受容器に対応する感覚野に入ると、それぞれのクオリアが創発されて受容器からの情報を識別できるのです。

生物進化の過程を見ると初めに嗅覚や触覚が誕生したので受容器による物質の分類機能が次に述べる情報の分類機能より先に誕生したのです。

下等動物の中には嗅覚や触覚のみで生活している例もあります。

なお、物質の分類実現には計算や情報処理の類は不要です。

2.エネルギーの分類
ヴェーバー・フェヒナーの法則によると、外部入力の刺激の大きさ、すなわち、エネルギーの大きさの対数に比例して感覚の大きさが変わります。
この事実は、クオリアには外部刺激のエネルギーを分類する機能があることを証明しています。

3.情報の分類
外部にある物体のパターン認識は、情報の分類になります。
この場合、計算や情報処理の類が必要になります。

情報の分類機能は、神経回路の複雑な計算によってはじめて可能となります。

クオリアは量的情報の認知結果

2021-02-12 09:45:40 | 情報と物質の科学哲学
感覚受容器への物理的刺激と感覚との間にはヴェーバー・フェヒナーの法則が成り立ちます。
この法則は、感覚(クオリア)の大きさが感覚受容器への物理的刺激(物理量)の対数に比例するというものです。
この法則は、精神物理学(心理物理学)という学問で知られています。

感覚受容器は、外部からの物理量を情報に変換して神経パルスに担わせる機能を持ちます。
この時の情報は量的情報と名付けるものです。
クオリアは、この量的情報を感覚野が認知した結果創発されるものです。

哲学者は、クオリアを神秘なものとします。
しかし、クオリアを量的情報の認知結果と考えればクオリアの意義が明白になるのではないでしょうか。

パターンは量的情報と質的情報のあいだ

2021-02-06 10:29:43 | 情報と物質の科学哲学
以前のブログで情報概念には量的情報と質的情報があることを指摘しました。
その際、パターンを質的情報としました。

しかし、よく考えてみるとパターンという概念には量的側面と質的側面の双方が備わっていることが分かります。

量的側面についていうと、パターンにはその大きさという属性があります。
パターンの大きさは、動物の行動にとって重要な意味があります。
敵が大きいか小さいかで行動を決めるからです。
また、多角形でいえばその角の数、辺の数があります。

質的側面についていうと、パターンにはグループ化という属性があります。
大きな三角形も小さな三角形も同じグループに分類されます。
パターン認識は、この性質を用いたものです。

以上の分析からパターンという概念は量的情報と質的情報の間にあることが分かります。




物理学者の情報概念は量子ビットかエントロピーだけ

2021-01-29 09:41:57 | 情報と物質の科学哲学
ブラックホールに関して「情報損失問題」というのがあります。
ブラックホールからホーキング放射が出ることに関係しています。

量子のエネルギーやその他の物理量はすべて離散的なものなので、それをビット表示したものを情報と呼んでいます。
ですから、一般の人が考える情報概念とは全く異質なものです。

更に、物理学者に不可欠な測定器が創発する情報概念とも無関係です。
奇妙なことに物理学者は測定値が情報の一種であることに無関心なのです。

物理学者の頭の中にある情報概念は、エントロピーか量子ビットだけです。
量子ビットで表示される量子情報は、量子コンピューターや量子通信などにおいて重要な役割を果たしています。

最近の宇宙論では量子宇宙というものが話題になっています。
これは、一般相対論と量子論を組み合わせた量子重力という概念で宇宙の仕組みを解明しようというものです。

最近の宇宙論は話題満載でとても面白いです。
銀河同士の衝突をスパコンでシミュレートする実験も報告されています。
一体どれくらい多くの連立方程式を立てているのでしょうか。