情報と物質の科学哲学 情報と物質の関係から見える世界像

情報と物質の関係を分析し、波束の収縮問題、心身問題、クオリア、時間の謎に迫ります。情報と物質の科学哲学を提唱。

波束の収縮問題に隠された落とし穴

2023-01-15 10:53:30 | 物理学
波束の収縮問題に関して当ブログで度々取り上げてきました。
今回は、別の視点から波束の収縮という概念自体が成り立たないことを証明します。

波束の収縮とは、複素空間で広がっていた波動関数が粒子の検出位置という1点に収縮することです。
この収縮という状況がシュレーディンガー方程式では説明できないというのが波束(波動関数)の収縮問題と呼ばれているものです。

今回のブログで取り上げたいのは収縮問題の議論では粒子の検出位置が「1点」としていることです。
しかし、このことは検出器が有限の大きさを持っていることと矛盾しています。
検出位置は「1点」ではなく有限の広がりを持っているからです。

結局、観測によって波束が「1点」に収縮するという考え方自体が間違っているのです。
この事実は波束の収縮問題自体が成り立たないこと、波束の収縮問題は擬似問題であることを意味します。

従来の議論では、検出器の大きさが有限であることを見落としていたのです。