日が沈むにつれあれだけシャター音が響いていたのが静かになった。
駐車場のほうを見上げると、わずかばかりの三脚がうす暗くなった向こうに見えた。
太陽が赤く燃え尽きるように沈んで間もなく、わずかな間だけ空が青一色に染るまぁまぁのブルーモーメントになった。
今年もダメかなと思いながらそれを待った。一番下の田圃では日が沈んでもまだ田植えが行われてていた。
まぁ、作業が終われば家路へつかれる、それを待てばいいと思いながら空を見上げると下弦の月が出ている。
西の空に突然現れた月は、思いのほか明るく30分ほど待った。
田植えを終えたのだろう明かりがチラチラと揺れる。しばらくすると車のヘッドライトがついた。
待ったかいがあったと思っていると、左手から光の帯が目に入った。ちょうどよさそうなタイミングでレリーズを押した。
ここに来る目的は、車のヘッドライトを入れて撮るのが最大の目的なのだ。
しかしここ数年、一台も車が通らないこともあった。
今年は、綺麗なカーブを描く上の段の農道を2台も車が通ってくれた。まぁ、通っていればこんなこともある。
願わくば沖に漁火が見えるといいのだが、山口県の東後畑の棚田とまでもとそんな欲張りな事はいわない。
時たま何隻か出ていることがあるが、青く漂う海に空の星が落ちてきたような光景が見たいものだ。