ダイダラボッチという巨人が山や湖沼を作ったという伝承が各地に多く残っています。
ダイダラボッチ
たとえば、富士山に纏わるものとしては、富士山を作るため、甲州の土を取って土盛りしたため甲州は盆地になったとか、
富士山を作るため近江の土を掘り、その掘った跡地が琵琶湖となったとかいうのがあります。
先日紹介しました榛名富士に関しても、土盛りして作ったので、掘った後は榛名湖となったとか、
榛名富士が富士山より低いのは、もう少し土を運ぼうとしたが夜が明け、途中でやめたためとか。
また、同じく上毛三社の赤城神社側の赤城山に関しても、ダイダラボッチが腰掛けて踏ん張ったときに窪んで出来た足跡が水たまりとなり、木部の赤沼がそれであるなどです。
ダイダラボッチは山の神様のようですが、
このダイダラボッチがデイダラボッチとして、もののけ姫では森の神としてでてきます。
もののけ姫には乙言主という猪の神様、昼は人間の顔を持った鹿のような姿をした神様、夜はデイダラボッチがでてきます。
もののけ姫といえばタタラは大きなテーマです。たたら製鉄のために自然を破壊する人間が描かれています。
福島県の相馬市は日本初の踏み鞴によるたたらが行われた場所でした。
また、出雲は良質の砂鉄が取れるため、長い間たたらが行われていました。
出雲のヤマタノオロチ伝説は、タタラにより、山が切り崩されたことにより、河川氾濫を抑える事が出来なくなったことを暗喩しているとも考えられます。
たたら製鉄では、大量の砂鉄と木炭を必要とするため、1回の操業で砂鉄採取用に1山が大きく削られ、木炭用に1山の木々が丸裸にされていたようです。それを年に10回とかやるわけです。それは、もう人間視点からしか地球を見てなくて、自然界に棲む動植物、土壌にいる菌類からしたらたまったものではありません。
デイダラボッチは、首を落とされたことで、人間や様々な生命を見境なく奪います。たたら場も崩壊してしまいます。
後に、アシタカとサンがディダラボッチに首を返すことで、荒れ果てた森に木の芽が芽吹きはげ山は少しずつ緑を回復していきます。
山を切り崩し、森を伐採しはげ山にし、森林や山が瀕死となり、再生には長い時間がかかります。その間に祟りのような自然災害がおこります。
たたらvs自然神の祟り
これがもののけ姫の大きなテーマ。
アシタカは蝦夷の長の設定です。
東北はアラハバキ信仰が残り、アラハバキは鉄鉱石が御神体であり、アラハバキ神は長髄彦と深い関係があります。
アラハバキは艮(北東)の方角にある東北の地で守られ、北東は艮の金神、祟り神として畏れられてきました。
祟りのように見えて、大地からしたらマイナスのエネルギーを元に戻すかんじなのかもです。
ディダラボッチは、破壊を司るシバ神のようでもあり、森の神、山の神、自然霊の味方のようでもあります。
猪、鹿、デイダラボッチ、森の精霊コダマ。
こだまとデイダラボッチ
自然が語りかけるテーマを、もののけ姫デイダラボッチに垣間見ます。
まるで、千と千尋の神隠しのカオナシのような存在にも通じるなと思いました。
【画像はお借りしました。】