愛と情熱の革命戦記

猫々左翼の闘争日誌

歳費及び議員報酬に関して

2016年02月17日 16時47分33秒 | JCPの活動、国民運動、国内の政治・経済等

 歳費及び議員報酬について自分の考えをフェイスブックの「ノート」で投稿したことをここにも記載しておく


 国会議員の歳費の具体的な金額については社会状況に応じて適宜検討を要する。しかし、機械的に国会議員の歳費を半額にしろということには賛成しかねる。国会議員の歳費には、本人の生活費だけではなくて議員活動に必要な調査研究活動、政策活動などにかかる経費込が入っている。
 日本共産党の国会議員を見ている限り自分が感じることを述べさせてもらうと、もし、歳費の額が半額にされてしまえば、今までと同水準の調査研究活動及び政策活動などが不可能になる可能性が高い。何故ならば、日本共産党の国会議員の多くは、国会議員になる前は、賃金労働者であったり党の専従者(党の専従者、すなわち職業革命家と言ってみたところで世間一般から見れば、政党に「雇われて」働いている賃金労働者にしかみえない)だったりして、これといった資産や収入のつてがないからである。

 上記のことは、国会議員を地方議会議員と読み替え、歳費を議員報酬と読み替えても本質的に同じである。

 世界史のことを話せば、もともと議会の議員は無報酬で活動していた。議員活動は営利活動の類ではないから無報酬で行うべきだと考えられていた(議員の多くが資産家であるなど、無報酬で議員活動をするだけの経済力を有していた)。また、市民革命当初においては選挙権には納税額による規制のほか、議員になるにも財産規定による制限があった。必然的に労働者階級は議会政治から締め出されていた。このような中で19世紀にグレート・ブリテン王国において労働者階級が選挙権及び被選挙権を獲得するための運動が生じた。このような社会運動はチャーティスト運動と呼ばれている。チャーティスト運動そのものは、運動内部の諸派の分立や支配勢力からの弾圧など様々な要素が重なって19世紀の半ばから後半に差し掛かる頃には消滅してしまった。しかし、チャーティスト運動によって労働者の階級としての団結と政治的影響力が高まっていった。そして、従来は議会の外で行われていた階級闘争が議会の中に持ち込まれることとなった。

 現在の日本における国会議員の歳費及び地方議会議員の議員報酬は、19世紀のグレート・ブリテン王国で始まったチャーティスト運動の成果を引き継いだものである。近年、日本では歳費(議員報酬)を「半額にしろ」とか「議員報酬をなくせ」という過激な論調まで垣間見える。だが、歳費(議員報酬)があまりに少なかったり、あるいは全くなければ、大きな資産を持たない賃金労働者を始めとして勤労者各層は議会政治から経済的に締め出されることになるだろう。歳費(議員報酬)の具体的な金額は経済社会情勢をふまえながら、そして議員活動をするために必要な額を保証する観点から適宜検討するべきものであって、議員の中に汚職や腐敗にまみれている人物がいるからといって短絡的に議員報酬の大幅なカットを声高に叫ぶことは、労働者階級をはじめとして勤労者各層が自らの代表者を議会へ送り出す術を掘り崩すことになる。このことを充分に弁えておくのが賢明である。