TPP(環太平洋連携協定)の中身は関税障壁だけはなく非関税障壁をも取り払うことを要求する。
関税障壁や非関税障壁なるものを取り払うことが要求されるのは、グローバル資本、とくにアメリカの大資本が世界中で活動しやすくするためである。そのためには、関税だけではなくその他の「障壁」さえ取り払えとTPP加入国に迫る。
TPPは、農業だけの問題ではない。農業以外では例えば医療保険制度さえ問題になる。日本ではまがりなりにも国民会保険制度がある。そのために、アメリカの保険会社から見れば日本での市場は狭い。これを広くする方法はなにかというと、公的医療保険を解体してこれを民間資本の草刈場にとってかえさせることである。
公的な医療保険制度は日本国憲法第25条の基づいて公的機関が責任を負っている。保険という技術が使用されていてもこれは市場経済の埒外にある。なぜか、医療は市場経済の原理でその価値をはかるのに相応しくないからである。医療制度は市場原理を適用させてはならない分野である。
もし、国民会保険制度が崩壊すれば、民間の保険会社に加入することになるわけであるが、そうなれば低所得者を中心として社会的に弱い立場にある人が真っ先に医療から排除される。人の命に関わることだけにかかることは容認できない。
マイケル・ムーア監督がアメリカに国民会保険制度がないことの矛盾を「Sicko」とう映画で告発している。医療の沙汰も金次第という状況を。日本がTPPに加入すれば日本の農業が壊滅的打撃をうけるにとどまらない。すべての、医療制度のように市場尾原理を適用させてはならないような分野にまでむき出しの市場原理にさらされる。これでは、ウォール街のオキュパイ運動の言葉を借りれば1%の人だけが得する、貧困と格差を拡大するだけの荒んだ日本が誕生する。こんな世の中が良い世の中であろうはずがない。
私たちの生活を悪化させないためにもTPP加入は阻止するに限る。
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