のんのん太陽の下で

初めての一人暮らしが「住民がいるんだ・・・」と思ったラスベガス。
初めての会社勤めが「夢を売る」ショービジネス。

彼が会いたがっていた訳

2009-05-20 | メディア
 ふと、クリエイションの時のことを考えていました。いろいろなことに挑戦する機会があり、楽しかったなと。今は、全く初めてということに挑戦する機会はないかもしれません。でも、ちょっとした新しいことがあったり、少しの違いがあったり。そして、その小さなことを楽しめる自分で良かったなと。
 そんなことを考えながらトレーニングルームで過ごし、本番の準備に更衣室へ戻ると、衣装部屋の方が私の席の蛍光灯を交換してくれているところでした。そして、
「新聞見た?」
 と。見てないことを言うと、
「え、見ていないの。あなたのことが書いてあったよ。」
 きょとんとしていると、小さな声で、
「マイケルジャクソンが今度のツアーであなたのことを使いたいって。」
 私は本当にびっくりして
「本当ですか。」
 と何度も訊きました。すると、
「インターネットでも見られるから、印刷して持って来てあげるよ。」
 と。初めは小さな声で話していた彼ですが、彼も興奮してきて最後には大きな声になっていたものですから、更衣室の反対側にいるエリカにまで聞こえていました。彼が出て行くと、エリカがこちら側に来て
「すごいじゃない。私はあなたのことが大好きだし、ここからいなくなってしまうのは残念だし、淋しくなるけれど、話が来たら考えるべきよ。考えないっていうのなら、私が追い出すからね。」
 と喜んでくれました。
 私はドキドキして、でも新聞を見るまでは信じられないと思い、落ち着くようにしようとしていました。すぐに記事を持って来てくれたので、それを見ると、確かにそんなようなことが書いてありました。そして、もうショーが始まるというのに、手が震えるようにドキドキしてしまうことになりました。
 衣装に着替え、カツラも着け、いつものようにトレーニングルームへ行き、静かになったトレーニングルームで心を落ち着かせようとしていました。すると私の様子に気付いたのか、ただの偶然だったのか、コーチのエイドリアンが、
「大丈夫?」
 と話しかけてきました。
「いや…。」
 と言いながら、彼になら話してもいいかと、大丈夫でない理由を話しました。
「ああ、そんなような話、誰からか聞いたよ。でも、今日彼が観に来るわけではないんでしょ?」
 とエイドリアン。確かにそうですが…。
「ごめんね、心落ち着かせているところを邪魔しちゃったかな。」
 いえいえ、きっと誰かに話した方が良かったということでしょう。
 緊張は毎日しますが、このドキドキは手が震え、良くありません。なんとかなるのだろうか、いや、なんとかしないと、と思いながら時を過ごしていました。今ここにいる私は、この今行われているこのショーをしっかりと務めることが一番大事なことなのです。それが出来ないのなら、この話はないものとなるでしょう。そして、話を聞いてから1時間ほど経って、ようやく手の震えはなくなりました。
 この話がどうなるのかは分かりませんが、何かが動き出しているような気がすると楽しくなってきました。そして、その気持ちを上手く胸に納めることが出来、無事に舞う事が出来ました。
 帰宅してから、もう一度その記事を見ると、初めの五行ぐらいで終わっていると思っていた私のことが、その後も続いていました。
 マイケル・ジャクソンさんがKAをご覧になった後、「あのバトントワラーに会いたい。」と連絡をして下さったとき、もしかすると彼は私を子供と思ったのかもしれない、などと思ったものです。でも、もしかするとアーティストとしての目で私のことをご覧下さったのかもしれません。KAでの私の舞と、彼のコンサートで行われているだろうこととは、見た目にはあまり共通するところがないように思えますが、もしも彼がその舞の中に何かを見出して下さっていたのなら、光栄なことです。
 記事の続きを読むと、あの偉大なアーティストが本当に私のことを気に入って下さったことが分かりました。でも、この記事だけ読むと最近のことに思えますが、彼がKAを訪れたのはもう随分前のことです。今やもう、私のことなど忘れているかもしれません。そして、彼のツアーに参加をする話などきっとないことでしょう。でも、これがきっかけで何か変化が起こるかもしれないと思うと、楽しくなってきました。その日が来るまで、私は今まで通りに、毎日のKAの舞台を誠実に務めていきたいと思います。

 『REVIEW-JOURNAL』の記事はこちらでご覧いただけます。http://www.lvrj.com/news/45462952.html
 また、5月24日発売の小学館、雑誌『プラチナサライ』2009年7月号に掲載して頂きました。

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1 コメント

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心で感じた評価 (ROCY)
2009-05-24 16:11:08
のんのん

マイケル・ジャクソンさんからも評価されましたね。
すごいことですね!
噂や評判や過去の名声から評価されたわけではなく
のんのんのダイアナとしての優しさが
マイケルにも届いたのだと思いますよ!
のんのんのステージには
テクニックや芸術性のほかにも
のんのん独自が持っている
優しさが会場全体に行きわたり、
みんなが優しくなれる
一体感がありますよね。
そんなところが一流のアーティストだけでなく
子どもから年寄りまで
幅広く評価されるところかもしれませんね。

ますます誕生日が楽しみになりました。

ROCY
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