陽だまりのねごと

♪~思いつきひらめき直感~ただのねこのねごとでございますにゃごにゃご~♪

姑のお下の世話

2012-05-03 23:55:17 | Weblog
嫁姑、成さぬ仲。
夫存命中も死後もずっともっともイヤな人だった。
この人のお下の世話だけは生理的に出来ないと思っていた。

夫とは母一人子一人の密着した仲。
他人の私の介入恋の敵でもあったかもしれない。

息子に先立たれても、
『息子の分まで生きる』と言いきった人が、
どんどん独居生活はむつかしくなってきていた。

一番先に歳は足にくるのか?
家で何度も転んでは血だらけ。硝子障子に突っ込んだこともあった。
食事の支度も出来なくなったが、プライド高い人で『出来ない』が言えない人だった。
だましだましデイサービスを使い、ヘルパーさんに入ってもらい
先を見越してケアハウスへ入所申し込みだけは説得して2か所しておいた。

去年5月末、いきなり入所の順番が来た。
通知から入所まで一週間と言うあわただしさだった。
歩行器を購入した。
しっかりこれをバリアフリーの施設で使えばなんとか自分で介護なしで歩ける。
まだ少し自宅に居ることが出来そうな気もして、
入所は少し可哀想な気持ちもあの時はあった。

あれから約1年。
さらに足腰が弱った。
とうとう車椅子となり歩行器は部屋の隅に追いやられている。

面会に行くとちょうどお風呂上がりでベッドに座っていた。
穿き返させてもらったズボンは自分のではないと盛んに言う。
違うのを出してあげたが、自分ではもう穿き替えられない。
両手をベッドに突いてもらうと何とかまだ腰が上がる。
するっと脱がせると紙パンツ。
入所の時には辛抱かさねた継ぎ当て下穿きをさすがに捨てて
新品を持たせたくらいしっかりしていたのに。

入所して栄養状態も改善した証拠に人相が変るくらいふっくらしてきた。
お腹周りにもお肉が付いた所為だけでなく、どうやら紙パンツの厚みも
去年のズボンでは窮屈なったらしい。

『そのズボンはヒトの』というのは姑らしい。

誰のか分からないなら返して来ようかと言うと、
『タンスに仕舞って』
などと言う。
穿けないものなら持ち帰って処分したいとこ。
持ち帰るとドロボウになる恐れも感じ、素直にタンスに仕舞い
一回り大きいサイズを買いに走った。

新しいズボンを見せて
次からコレを穿かせてもらってと言いながら名前を油性マジック書いて、
仕舞い場所を姑に確認して、さぁ~帰ろうと思ったら
呼び止められた

  『トイレに連れていって頂戴』

ベッドから車椅子へ抱えて移乗。
車椅子を押してトイレへ。
しっかり手すりを持たせて、紙パンツをおろして
便座に座らせて、トイレの外に出た。
姑から済んだと言う言葉を聞いて、再び便座から
手すり持たせて立たせ紙パンツとズボンを引き上げて、車椅子へ。
車椅子からベッドへ。
ちゃんと紙パンツ中の汚れチェックまでしている。

まだ辛うじて両足で立つ能力が残っている。

  『また来ます』

と部屋を出てから
あまりに自然に姑の下のお世話をしてしまった自分に驚いた。

あれだけプライドが高かった人が
なんの抵抗もなく一番弱みが見せられなかった嫁の私にトイレ介助を頼んだ事実に
私の方が打ちのめされた。

ふたたび歩行器で自由に歩けるように快復して欲しいのはもちろんだが、
それよりも気落ちしている姿に、
車椅子でもいいから
今までとおり、
自慢たらたらの自信満々の
ほんとに大っ嫌いだった元の姑に戻って欲しいと
姑のために祈る。







にほんブログ村 シニア日記ブログ 女性シニアへにほんブログ村 人気ブログランキングへ
                                                           
     来られたお印にふたつクリックしていただくとうれしいです=^_^=