2日未明、香港中心部の幹線道路を占拠し続けるデモの参加者(共同)
【香港=田中靖人】香港で「真の普通選挙」を求めて幹線道路を占拠した民主派の街頭デモは2日、開始から5日目に入った。香港紙の中には、占拠による経済損失は約400億香港ドル(約5600億円)に達すると報じるものもあり、香港経済への影響を懸念する声が出始めた。
2日付の中国系香港紙、文匯報は、商業界の推計として、占拠が香港の経済活動に及ぼす損失が「少なくとも約400億香港ドル」になるとの試算を報じた。
同紙はデモに批判的であり、試算根拠は不明だが、経済への影響については、星島日報も、占拠が来週まで続いた場合、香港のホテル約230軒の1日当たりの損失が計1億香港ドル(約14億円)近くになるとの推計を報じた。
星島日報によると、1日に香港に入ったツアーは380団体で、前年比8%減。中国政府が香港への団体旅行ビザの新規発給中止を決めたことで、来週の団体旅行は同9割減の可能性があるとしている。日本や韓国からのキャンセルも出始めているという。
香港大学生連合会(学連)が求めている2日中の梁振英行政長官の辞任について、同日付の明報は「絶対にしない」とする香港政府筋の話を伝えた。香港政府とデモ隊側との対話の予定もなく、事態打開のめどは立っていない。
台湾では1日夜、学生や市民約2000人が台北市内に集まり、香港のデモに支持を訴えた。香港紙によると、中国本土のアモイでも約700人が広場に座り込んで支援の意を示した。
(2014.10.2 10:13msn産経)
[注]
民主派は、2017年に行われる香港トップを決める行政長官選挙に関し、中国政府が親中派以外の立候補者を事実上排除する仕組みを年内に構築しようとしていることなどに強く反発している。
中国政府は、民主化の波が中国本土にまで波及することを警戒している。それだけに、民主派が行政長官に当選する可能性のある選挙制度は決して受け入れられない事情がある。