気の向くままに

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「スタバ(スターバックスコーヒー)はないけど…

2016-06-06 17:24:28 | 日記

 「スタバ(スターバックスコーヒー)はないけど、日本一のスナバ(鳥取砂丘)はある」。その後スタバは鳥取県内に進出したが、平井伸治(ひらいしんじ)知事の「名言」は広まった。人口が日本で最も少ない県は存在感をアピールしようと懸命だ。

▲なのに、また影が薄くなるのではと県民は心配しているようだ。夏の参院選で「鳥取・島根」は「徳島・高知」と並んで合区された。両県で1人の議員しか選べない。人口が多い島根出身の候補が有利ではないか。鳥取の声が国会に届きにくくなるのでは。不安の声が相次ぐ。

▲県の成り立ちは複雑だ。明治時代になり、因幡(いなば)、伯耆(ほうき)、隠岐(おき)の島が一緒になって鳥取県が誕生した。だがすぐに島根県に併合され、鳥取県は消える。地元の士族らが再置運動を繰り広げた。隠岐の島を島根に残す形で再び鳥取県が認められた。

▲功労者は明治の元勲(げんくん)、山県有朋(やまがたありとも)だ。山陰を視察し、政府に報告する。行政区は土地の広い狭い、人口の多い少ないではなく地域の実情に即して決めるべきだ、と。

▲鳥取県議会で合区について問われた平井知事は山県の報告を引き合いに出し答弁している。「示唆に富むものであったと思います。単なる数合わせの議論で合区だなんだということが決まっていいのかどうか」。「鳥取・島根」は東京−名古屋間に匹敵する東西約350キロ。文化圏も異なる。もちろん「1票の格差」は解消しなければならない。とはいえ大都市の議員ばかりが増えては地方創生はどうなるのか。

▲衆参同日選かどうかが注目されてきたが、そもそも参議院は何のためにあるのか。長年の議論はいまだ煮詰まらないまま選挙が近づく。

2016年6月6日 毎日新聞 余録