気の向くままに

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龍宮の海でおぼれる

2016-06-14 17:10:35 | 日記

 先月来しばしばテレビに「龍宮城」が映る。といっても浦島太郎が過ごした城ではない。舛添要一東京都知事が政治資金で泊まったスパホテルだ。千葉県木更津市にある。

▼欧州で1泊19万円のホテルに泊まる知事のこと、さぞ豪勢な宿かと思いきや、行ってみると、気取らない雰囲気の観光施設だった。家族連れが浴衣や部屋着にスリッパでくつろぐ。打たせ湯やプールがあって、卓球やカラオケ、潮干狩りもできる▼知事が泊まったのは2年前と3年前の正月。宿泊費は計37万円ほどだった。両年とも家族と宿泊中に、30年来の知人である「新聞記者出身の出版会社社長」を客室に招き、しばらく面談したという。宿泊費のすべてが「会議費」として政治資金から支出された。

▼言い訳としてはいかにも苦しい。施設はどう見ても、休暇を過ごす家族向けである。客室が「会議」に適しているとは思えない。しかも三が日である。社長が2年続けて訪ねてくるだろうか▼きのうの都議会でも、社長がどこのだれなのか知事は頑として明かさなかった。言わないのは、「政治家としての信義」ゆえらしい。もはや客室で面談したという言い分そのものが疑わしい。

▼言葉で相手をねじふせるのは舛添氏がもっとも得意としてきたことだ。それが今回はことごとく裏目に出る。問題とされた支出の釈明には、およそ誠実さが感じられなかった。能弁でならした知事はすでに龍宮の海でおぼれている。政治の言葉の「信義」を見失ったせいだろう。

2016年6月14日 天声人語


<所感>

 社会通念上不当なことでも論理で相手を説き伏せる手法の限界を見た。マスコミの力の強さも見た。マスコミは繰り返し報道して視聴者を洗脳(学習させる)することができる。

 「人は、その人の最も得意とするところで死ぬ」剣であれば剣で、弁舌であれば弁舌でと思う。

 「天下の宝刀は鞘に納まっているところに宝刀の価値がある」と教えられたことを思い出す。

 舛添都知事の矜持が裏目に出た感がある。腹のくくり時がきた。議会の解散権を行使か?辞職か?