日曜日の夕方の話である。
「イヌでもない、ネコでもない!こんな動物に遭遇」というタイトルで、私のところに友人からメールが送られてきた。ビックリ!
私は、急ぎの原稿が半ばまで出来上がっていたので、気をよくして夕方からお風呂に入り、相方が飲んでいたチューハイをグラスに半分も。さぁて、と。夕食までもうひとがんばり。もう1つの案件の資料を整理しはじめたところだった。
送られてきた画像にクギづけになり、なんだろう?なんだろう?と私が騒ぐので、家族が寄ってきて「おそらく野良たぬき」ということになったのだが、本当かしら。たぬき⁈
「普通のおばちゃんはアライグマをたぬきと勘違いしている人が多い」らしい。
その友人によると、日曜日の昼12時30分頃、ビッコをひきずりながらヨタヨタと歩いていたという。
水が流れる水栓みたいなところから、出てきたとか。
怪我もしていた。そして、人とみるやすぐに溝のようなところに隠れて、全身から毛を逆立て、警戒心をあらわにしたと言っていた。
たぬきといえば、夜行性動物だ。真っ昼間に、足をひきずって片目をとじて右に左にヨタヨタと歩いているなんて、よっぽど足が痛くてたまらなかったのかしら。
カワイイというよりは、なんか妙に感心をひく画像である。
車にはねとばされたのかな。お腹がすいてもう命からがらだったのかしら。
そうだ、慣れないお日様に面食らったに違いない。と想像力はどんどん膨らむ。
もう仕事どころではなくなってきた。そこへ…。
「知らん?コンビニエンスストアの真下にあるエレベーター付近で、女子高生たちがネコに缶詰の餌をあげているやろ。それ、たぬきも食べに来ているらしい」
「餌付けしているタヌキかな」
これにまた驚いた!野良たぬきに餌付け~!?
ネコに混じってもたぬきだ。それともネコに化けて食べているのかしら。
おかしい(笑)
それよりたぬきって、確かに人を化かすというくらいだから、もっと野性的で威厳の高い小動物ではなかったか。
(身を守るために死んだふりするのでしたね)
私のなかでは小さな村の奥深くにひっそりといくつもの小集団で暮らしているというイメージであったのだ。
そこへ別の部屋から声がした。
「タヌキには自分のテリトリというものをもっていて、一日2回くらい同じところをぐるぐるまわって歩く習性があるよ。同じ時刻に、そこにいたらまた会えるよ。まあクローバー型とか、はちの字型とか、いろいろパターンで動くんだけど…」
自然史系の博物館の仕事を多く手掛けている相方が背後から、いよいよたぬき談を語り始めたのだ。
たぬきさん、いまごろお山に帰れたかな。
しかし、気がつくと外は暗い。
ほう、私は一体いつになったら机に戻ろうかしら。と内心考える。
来週は取材や打ち合わせやらが多く、
我に変えると、自分のことが心配になってきた。土曜日も、友達とごはんに行ってたっけ。
ああ、すっかり日も暮れて、いつもならとっくに食卓を囲んでいる時間である。
ちなみに、たぬきの画像を送ってくれた友人は昨年の今頃にも
「うちのベランダにものすごいでかいヘビがいてさ、こんなに長いのよ。
ビックリしてね。竹の棒で落としたら、しゅるしゅるってポール伝って違うベランダに飛び移ったのよ。
そしたらなんとまた翌日、今度は玄関近くのとこで見かけてね。今もまだ近くにいるんじゃないかな」といって
私を仰天させたその人なのであった。
一体ここはどこだ!