月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

大阪→高松 弾丸出張。ざるうどんの「川福本店」で一献

2014-10-31 12:09:21 | どこかへ行きたい(日本)




ようやく手持ちの原稿をほぼ出し終わり、あと昨日の取材1本だけになったので、ちょっとだけ休憩。

先週末は香川県に取材出張だった。
ここの仕事は営業さんやカメラマンさんとは現地集合だったので、
本もたっぷり読め、新幹線の車窓からの風景も独り占め。

新神戸から約25分で岡山到着。
そこから、JRのマリンライナーで高松駅へ。
取材のシミュレーションをしながら、質問事項や資料に目を通す。
再び本を読む。
チラリとコンパクトをのぞいてお化粧を確認しながら、
日本のJRというのはどこもそう変わりはないな、などと思っていると、ふと突然に現れた。

水彩絵の具の水色を溶いたような青い青い空と
全く同じ色調の海の絶景が目に映ったのだ。









鉄橋の欄干で見え隠れするが、
マリンライナーは海に添ってどこまでも走り続ける。
思わず、iPhoneから写真撮影。
それでも海は続く。
緑の小島が浮かんでいる。ぽかん、ぽかんと。
秋の清浄な空気と明るすぎる太陽に照らされた海の絶景は、温かくて眩しくて、平和そのものであった。
いつまでも15分以上続くので、目が離せなくて
後半はずっと車窓を流れる青い景色を目のなかに映して走っていた。



取材は撮影も含めて、2時間強ほど。
中国四国地区でNO.1のシェア率を誇るという広告代理店さんを訪れ、5人の方々にお話を伺った。

取材を終えると、カメラマンさんの車で駅まで移動。
普通はそこで「お疲れ様でした」といって岡山まで帰るところなのだが、え!もう帰るのという心境。せっかく海を渡ってきたのに。

営業さんたちは、岡山でもう1本仕事があるという。

そこで、駅前をうろうろっとして本屋へ飛びこみ、
昨日、調べた駅前3軒のうどん屋さんがほぼ閉店になっていることを確認した。駅近で軽くやる、という選択肢もあるなぁと想いながら、
タクシーに飛び乗って繁華街へ繰り出した。



夕方に取材を終えると、せっかくうどん県にやって来たのだから。そして夜12時まで営業している「川福本店」へ。




カウンターに陣取って、名物のざるうどんをオーダー。
天ぷらものが食べたくなって「かき揚げ」を追加注文。
もちろん、生ビールも。








これが、想像以上。うどんの川福は大阪・心斎橋にも店を構えていて、大昔は時々通ったものだが、さすが本場。
麺の粘りが違った。
もっちもちでツルツルの麺に感動し、気をよくしてビールを飲み、
ちょっとだけ本を読みながら30分。
だんだん、気分が高揚してきたので、おでんの玉子や厚揚げも追加。
こういった地方の1人カウンターというのは、なんだか逆に安心する。カウンター内にいるおじさんも気を使って、2言、3言しゃべってくれて、あとはぼっちに。
思いっきり店内の雰囲気を観察できるというわけだ。

1時間くらいいて、店を後にしてブラブラと夜の商店街を歩く。













自転車で過ぎていく、地元の若い会社帰りのサラリーマンやおばちゃんたち。
近くに「かりんとう屋さん」とか、いい味を出している「あんみつ屋さん」があった。
寿司屋も、串カツ屋も。牛タン屋も。よさそうな店があったが、今夜は素通りして、
循環バスに飛び乗って、高松駅までかえった。


帰路は、高速バスで三宮駅まで。
隣に、松山行きのバスが止まっていて、
思わず、乗りたい!という気持ちを鎮めて、三宮までの乗車券を買った。(翌週までの手持ちの原稿が、本取材以外にもあって押している)
「朝は道後温泉で湯浴みして、それから帰る手もある」と乗車券をみつめながら、まだ独り言。



深夜バスは安い。それにゆっくりとモノコトが考えられるのがいい。
行きに読んでいた本も6割くらい読めてしまった。
ふと、心がものすごく敏感に立ち働いている自分を客観する。
感性の花が目を覚まし、どんどん開いていくのを発見。
家にいるのとどこが違うんだろうか。
やっぱり手に持っているのが小さな鞄1つというのが大きいのだろう。手ぶらに近い。あれもこれもしなきゃあ!と私はいつもいろいろな要件や人への想いや、感傷を体に身につけて
重い状態で生きているんだなということに気が付いた。

今は家族のことも、何も手放して、ただ1人自分とだけ向き合っているのだと思った。
まるで、2年前子宮全摘出手術で入院していた時みたいに。




夜10時。淡路大橋から見る神戸の夜景が、信じられないくらい、奇跡のように輝いて目に映った。 
光の楽園。今自分が暮らしている街がこんなにきれいだなんて。

ナンテ素晴らしいところに自分は帰っていけるのだろうと、
祈るような気持ちで夜景を眺めていた。
時々はこんな風に日常の生活からリセットして、自分の今を、俯瞰で見つめることも必要なのかも。
贅沢な、ほんのひとときの小さな旅の時間。
四国は想像よりも、ウンと近かった!

また行こう!旅の中へ。