
ある日。(3月第3週目)
焦燥感にかられながら。朝に昼に外をみる。ありたい自分でいられないじかんを無為に過ごしてしまっている。
焦りと失望だ。原稿を書きながら、小説をひらきながら、料理をするために台所に立ってやかんに火をつけながら。
みた窓の外。
雪がふっていた。激しい風にあおられて、はげしく南から北へ、西へ、東へと強くふりまわされていた。窓のむこうは、雪の嵐。寒そうだった。
わたしは安心した。ほんの少し安堵し、作業に没頭することができた。外は雪なのだから。時が止まってしまったように錯覚する。まだまだやれる。よしやろう。
けれど、顔をあげた瞬間。世界は一変し、光のあついシャワーがそそがれた新しい季節。晴天。わたしの手は止まり、愕然とする。
雪はどこへいってしまったのか、あの時間は。あぁ前進してしまった。季節はめぐった。小春日和だ。
手を止め、諦めて、お茶をいれて、熱い花の香りのする湯を、ティーカップにいれた。
ふと感じるものがあって、みあげれば、外は激しい雪が風にあおられ、真っ白な外気をわたしの目にやきつける。
雪と光。春。そして冬。繰り返し。繰りかえし。一日の中、季節がいつまでもめぐる。
そして夜が舞い降りた。