月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

あきれるほどに怠惰な一日を記録

2021-06-06 12:56:00 | コロナ禍日記 2021







 

 

4月20日(火曜日)晴

 

 一昨日19日には、6時に起きて30分散歩をし、ヨガと瞑想。午前中から原稿に入り、夕方には別のテープおこし、仕事。夕ご飯は、家人の好きな鯨のしょうが風味ステーキをこしらえて、日記やSNSを更新、寝る前にはお風呂で短編を1冊読んで寝るというフルコースを過ごした。これで生活習慣をきちんとおくれるようになった、とばかりに安心していたら。翌日は、リバウンドしてしまい、とんでもない怠惰で、まあ、幸せな1日をおくる。

 

 きょう、家人は出張でいない。普段なら、一日のやることをすべて終えてからシネマをみるのに、こらえきれない感情に任せて、DVDをセット「トリコロール青の愛」を観る。






 家の周囲は騒音がはなはだしい、ヴィラの修繕工事の真っ只中なのだ。それもタルザム茶園のセカンドフラッシュダージリンと、はちみつトーストを食べながら。ま、なんて怠惰な。


 20年前、この映画にはまりにはまり、そこから、ジュリエット・ビノシュの大ファンになって、監督のクシシュトフ・キェシロフスキ 監督の類いまれない才能に震えたのが「トリコロールシリーズ」。かつての自分がどれくらいこの映画を理解できたのかはよく覚えていないが。

 きょうは、ジュリーの心の動きや監督がこめたかったメッセージが(正しいかどうかは別として)わかったような気がした。自分なりに有意義な鑑賞の仕方ができたと思う。ジュリーは、夫への愛や家族への愛を何より求めてきた女性のように解釈されているが、本当は自分の作曲(音楽の創作)を最も守りたかったのでは、などと考えながら鑑賞した。そう考えるとラストの欧州統合の協奏曲を完成させたジュリーの行動に納得がいく。

 

 ノートを出してきて、シーンをはじめの部分からおしまいまで、自分なりの言葉で整理した。感想らしきものも加える。

 

 映画を見終わった時には、5、6人の工事人がいて、ベランダや妻側が包囲されていた。壁を手でさわりながら歩く人。足場をたしかめながら、電動ドリルと、とんかちで、カンカン叩かれている(家が)。人がサッシの向こうに張り付いていた。おかしいやら、うるさいやら……。仕事をする気も一気にうせて、近くの隣人とメールのやりとり。しんどさを共有し合った。そのままの流れで本をもってお風呂に潜伏した。

 

お風呂からあがって、にんにくと赤とうがらしのスパゲティをこしらえる。広島産のはるみもいつもは半分なのに1個ぺろりと平らげた。そして、なんとそのまま、ベッドで爆睡。Oh ! NO!

 30分後に起きて、また紅茶を飲むところからやり直し。あっという間に夕方になった。机のまえにすわって、パソコンを叩く。が、いまいち乗り切らない。

 

それで、早めの夕食をこしらえた。一人だから、すきなものばかりを食べてやるのである。イカリスーパーから買い求めた少しお高いめの黒毛和牛を、酒をたっぷり注ぎすきやき風にアレンジ。あとは、トマトサラダのみ。すき焼きにいれた日本酒を、ワイングラスに注いで飲む。

 シーンとつまらないので、テレビをつける。どのチャンネルをぱちぱちしても、もっとつまらない気分になってくる。今度は「トリコロールの赤の愛」を観た。

 




 

 こうなれば、もう自分の文章など、とるにたらないものに思えて続ける気にはならない。また風呂で面白い本をめくって、とろとろと過ごす。

あがって部屋をみると。荒れているなあと思い、申し訳程度にさーさーっと片づけて。寝室にひきあげ、文庫本をめくってみるが、猛烈な睡魔におそわれて抵抗できずに、寝た。Oh!怠惰日和という日記にしようか。読む側にとっては真面目な日記より、面白いんじゃないかとふと思ったりする。