月の晩にひらく「アンデルの手帖」

writer みつながかずみ が綴る、今日をもう一度愉しむショートショート!「きょうという奇蹟で一年はできている」

紅茶と映画とおいしいもの

2020-08-07 13:16:47 | コロナ禍日記 2020

ある日。

 

6月15日(月曜日)

朝7時半に起きる。ヨガ、瞑想10分。

 

 ハッとする瞬間がある。今朝の場合には紅茶だった。

 芦屋のウーフで買い求めたダージリン タルザム茶園2019年夏摘み(セカンドフラッシュ)。茶碗のはしにそっと口を付けて息をふーっと吸う。若々しい香りだ。水玉のワンピースをきた少女のようなきれいな味。深い余韻にはマスカットフレーバーの芳醇な味と香りが続いた。思わず文庫本を置いて目をとじた。朝の紅茶のひとときでその日一日がきまる。

 

 昨晩。

夕食時にみたDVD「マチネの終わりに」の中の一つ一つのセリフが重たくて、真夜中3時、4時と1時間おきに目がさめて、クラシックギタリスト槇野聡史の腑に落ちない衝撃的な性格の役柄について、考えていた。意味のない台詞がひとつもなく、うつくしい詩みたいな作品でもあった。 

 

 婚約者がいることを知りながら想いを抑えられずに、あれだけ過激に洋子さん(石田ゆり子)に想いをぶつけ、いかにも人間的というか、ツメが甘い。自己中心的なアーティスティックなタイプだ。映画好きのNの友人は「主要な登場人物が揃いも揃ってサイコパスなので、それがノイズになってきれいな画に浸りきれなかった」といっていたらしい。

 

 しかし、焦がれるほどの人と成就する人なんて一体どのくらいいるんだろう。初恋が実る確率なんて、ほとんど奇跡に近いのかもしれないのに。誰かの、何らかに阻害されて諦める。理由なんて何千通りもあるのだ。たとえ気持ちを伝えあったとしても、よほどの運(タイミング)と両者の強い想いがないとむずかしい。再びそんなことを思い出す。

 午後から、打ちあわせにでるので、借りていた(今日が返却日)「存在のない子供たち」を観る。

7/20(土)公開『存在のない子供たち』予告

 

こちらは言葉にならないほど、至高のシネマ。高い視点から、空や屋根、人々の暮らしを映すカメラワークがたとえようもなく美しい。

 12歳のゼンイの生き方は、健気で、プライドがちゃんとある。「自分を生んだことが罪。育てられないなら産むな」というメッセージ……が痛い。やはり観てよかったと思った。

 

 急いで、電車を乗り継ぎ、うちあわせ場所へ。持参した企画のプレゼン。まずまずの好感触だった。ZOOMのスタジオもみせてもらい、コロナ後の新たな会社の体制を目の当たりにした。

 

4時。ひとり「たねや」のあんみつ。

 



  固く歯触りのよいきらきらした寒天、小豆もほの甘く上手に焚けていて、おいしい。もう何度となくここで一服して食べた味だが、なんだか初めて食べたみたいに新鮮だった。

 阪急梅田の地下で、芦屋「竹園」のミンチカツとコロッケを買い、沢口醤油のさしみ醤油と淡口醤油、京都の嵯峨豆腐森嘉のとうふ、揚げを買う。ついでに「盛岡冷麺」も買った。さすが関西一のデパートだ。

 

 帰ろうとするところへ。Nからメール。「5時の便で帰阪する」のだという。予定変更をして、大阪空港へいく。ディーン&デルーカで待ち合わせ。一緒に家へかえってきた。

 

にぎやかで騒がしく、楽しくて笑いっぱなしの日々が、また始まるのか。

 

 夜ごはんは、コロッケとミンチカツ。野菜の付け合わせ、ブロッコリーとトマトのサラダ、生春巻き、お味噌汁。夜にお茶とケーキ。

 

 

 

 



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