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健康ブームや出汁ブームで昆布出汁の簡単な取り方 といって、きれいにした昆布を水に浸して一晩おいたものを出汁として利用したり、テレビなどでもよく紹介されていますね。
先日は外来の時に「急に甲状腺機能異常を指摘された」と相談された方がいました。
普段は尿酸や脂質異常などで当院に通院していますが、他の疾患で総合病院にも通院中です。
そちらでの採血の結果を持参されてのことでした。
えーー っと驚くくらい甲状腺ホルモンが少なかったのですが、本人の自覚症状はなく慢性のものなのなんだろうなとは思ったのですが。
よくよく聞くと、海藻類を努めて取るようにしていて、飲料も昆布出汁を飲んでいる?ペットボトルに入れた昆布の汁を飲んでる!とか。
昆布やわかめ・のりなどにはヨウ素(ヨード)というミネラルが含まれています。体にとって なくてはならない成分であり、身体によいとされて、健康食品の中にも多量に入っていたりします。しかし、身体に必要なヨウ素はわずかです。昆布でいえば、40-60㎎相当程度と言われています。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの主原料です。
甲状腺の中にヨウ素が取り込まれ、甲状腺ホルモンを合成します。甲状腺ホルモンに関しては身体の新陳代謝を促し、身体を元気にするホルモンです。子供でいえば、成長にも欠かせないホルモンです。そのため、原料であるヨウ素が足りないと甲状腺ホルモンが不足してしまいます。
一方で、上記の方のように毎日多くの昆布を食べ続けるとどうでしょう。
また、ヨウ素入りのうがい薬なども多用するとどうでしょう。
沢山あれば、たくさんホルモンを作れるように感じるかもしれませんが、過剰なヨウ素は甲状腺ホルモンの産生を抑制して、甲状腺機能低下症におちいることがあります。このような場合はヨウ素の取りすぎをやめると、自然と元のホルモンに戻ります。
何事も適量が大切ですね。偏った栄養はいいことばかりではないです。
上記の患者さんはしばらく昆布を減らしていただいて、様子を見ることになりました。機能が落ち着くとよいなと思います。