ここ最近、HPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンを受けるかどうか悩んでいるという、お母さんからの相談を立て続けに受けました。
自身の娘たちには年齢になったら受けさせようと思っていますが、ご家族でよく話し合ってください という返答を結論的にはしています。
HPVワクチンが始まったころにワクチン接種後の方に持続的な激しい痛みや運動障害が報告されたことや そのことがメディアで大きく取り上げられたことから、一時的なワクチンの積極的勧奨の延期から始まり・・・ お子さんが接種対象年齢になっても迷われている気持ちがあるようです。
その考えや不安は本当によくわかります。万が一、自身の大切な子供が副反応で悩むことになったらどうしよう・・・
けれど、子宮頸がんは唯一といってよいほど予防ができる癌です。
発がん性の高いHPVが持続感染し、数年から十数年で全癌病変の状態を経て発症すると考えられています。頸がんの原因の95%以上がHPV感染です。
HPVは性交経験がある女性であれば、だれでも感染する可能性があるウイルスです。
性交渉の経験がある女性のうち50%~80%は、HPVに感染していると推計されています。
日本国内での子宮頸がんの現状としては近年、患者数・死亡者数ともに漸増しています。
しかも、30-40代の若い世代での患者数が増加してきている現状です。
HPVワクチン接種を国のプログラムとして早期に取り入れたオーストラリア・イギリス・米国・北欧などの国々では、HPV感染や前がん病変の発生が有意に低下していることが報告されています。まさしく、ワクチン接種でがんの発症が予防できているのです。HPVワクチンと子宮頸がん検診が最も成功しているオーストラリアでは2028年に世界に先駆けて新規の子宮頸がん患者はほぼいなくなるとのシミュレーションがなされています。
ワクチンの安全性の評価に関しては次に記載できればと思います。