まだまだ家の片づけが終わらない。
押し入れの中を整理していたら、オルゴールが4個見つかった。
その中の一つを開けてみた。
割ときれいだ。
ネジを一杯に巻いた。
すると、『五木の子守唄』が流れてきた。
弱々しい音色だった。
いかにも悲しげに聞こえた。
何年間、この押し入れの中で眠っていたのだろうか。
音の響きは、ゆっくりゆっくり回っている。
他のオルゴールも試してみた。
『乙女の祈り』『ローレライ』『庭の千草』だった。
どのメロディーも、最後の力を振り絞って奏でているようだ。
最初は、箱が古かったので破棄するつもりだったけれど、
これらの曲を聴くと、簡単に処分することはできないと思いなおした。
物にも命が宿っている。
生きているのだと感じた。
予定を変更して、
納得いくまで使ってから、捨てることにした。