側弯症に対する脊柱固定術のひとつの術式である「前方固定術」の続きです
添付のレントゲン写真をご覧いただきますとおわかりいただけると思いますが
前方固定術といっても、金属ロッドを使用せずに、スクリュー固定だけで
手術するわけではありません。この写真の患者さんの場合は、2本のロッドを
4本のスクリューで固定しています。
分類でいいますと、胸腰椎移行部のシングルカーブ ということになるかと
思います。椎体と椎体の間(椎間板のあるところ)にはチタン製金属ケージを
挿入して、固定性を高めています。この患者さんの場合は、腸骨からの移植も
少なくすんでいるのではないかと推測されます。
シングルカーブの患者さんの場合は、固定部位を選択することが比較的選べ
ますので、この写真の患者さんのように4椎体だけの固定術で完了することが
できれば、当然術後の背中の動きにも許容範囲が広がることになるでしょう。
今回、掲示板でのコメントを巡り、このレントゲン写真を例示いたしました。
最初に発言された患者さんは、ご自分がとても満足された手術結果を皆さんに
ご紹介したかったのだと思います。
ただ、そこにはちょっとした誤解がありました。ボルトのみで固定している/
ロッド(金属の長い棒)は使用しなかった/
確かに後方固定術のロッドに比較しますと、細く短いものですませることが
できています。
しかしながら、“固定術”というものの物理原則からしますと、連続した椎体
が「カーブ」しているわけですから、そのカーブを矯正する為には縦のライン
として保持する為の「金属ロッド」が必要となります。
逆にいいますと、この縦のラインとなる金属ロッドを支柱として固定し支える
役目を果たしているのが、スクリューなのです。
ロッドとスクリューがひとつのシステムとして機能することでカーブを矯正し
骨が曲がろうとする力への抵抗力となるわけです。
患者さんは医学についてはどうしても素人です。
説明を受けて理解できたつもりで、実は理解できていなかった。ということは
しばしばありえることです。
私august03がご注意申し上げたいのは、掲示板というさまざまな方々が見る
場所で、誤った情報が修正されることもなく流布されることの危険性に
ついてです。
情報というものは、「一人歩き」してしまう性質をもっています。
そのことがどんなに危険であるか、ということはご理解いただけると思います
誤りは誰にでもあります。誤ることが悪いのではありません。
誤った情報が訂正されないことが危険なのです。
ネット社会となり、ますますそのことについては、十分に注意が払わなければ
ならないと考えます。
(august03)
運良く先生とお話する事が出来たので、金属棒を使わない術式が存在するのかどうかを確認してきました。
やはり、「無い(原理から考えて無理)」との事でした。「多分、その患者さんが勘違いされているのでしょう」と。
先生もaugust03さんと同じ事(原理)を言ってました。
スクリュー(横の棒)を打ってもそれを(縦の棒で)繋がなかったら「固定」にはならないよ、と。
患者側でも色々と勉強している詳しい人もいますが、やはり素人です。
この件以外でも、「~らしい」という話(噂?)も患者の間ではよくある話ですよね。
また、この件に限らず、ネット上では本当の話もそうではない話も存在します。
私の持病(側彎症以外の)でも、民間療法を薦める人がいたり、仲良し(患者さん)グループでそういう怪しげな治療方法の方向にグループ全体で突っ走ってしまう事も珍しくはありません。
実際に何度もそういう場面に遭遇しました。
側彎症でいうと整体やカイロもそうですよね。(カイロや整体にも良識のある人はいます。言葉尻だけ捕らえたりといった誤解の無いようにお願いします。)
あとは新興宗教とか・・・。呪文を唱えると病気が治ると私も言われた事があります。(苦笑)
まぁ、宗教は別としても、ネット上で知りえた情報は自分の主治医に確認した方が良いと思います。
その為の「専門医」ですものね。
どこで誰に何を言われたとしても別に私自身を否定されたとかそんな風には思いませんし(ネット上ではよくある話ですから)、私は私の意思でこれからも自分のブログやこちらの掲示板に書き込みをしますし、しかし書きたくないと思ったら書きません。
これからも正しいことは正しいと発言しますし、正しくない事は正しくないと発言します。
august03さんを信用しているのでこちらのブログや掲示板にコメントを書き込んでいますし、これからもお世話になるつもりでおります。
august03さんには色々と相談に乗っていただき助けていただき、本当に感謝しております。
今後ともよろしくお願いいたします。