【「あんた、本当は私のこと笑ってるんでしょ」就活の情報交換をきっかけに集まった、拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良。学生団体のリーダー、海外ボランティア、手作りの名刺……自分を生き抜くために必要なことは、何なのか。この世界を組み変える力は、どこから生まれ来るのか。影を宿しながら光に向いて進む、就活大学生の自意識をリアルにあぶりだす、書下ろし長編小説。第148回(平成24年度上半期) 直木賞受賞】
「大変だなあ、就活にこんなに神経をすり減らして・・・」と
ほとんど就活らしきものをしなかった(採用試験を受けて、行けといわれた所に行っただけ)私は、
今の若者が気の毒になる。けれど、どうも主人公の拓人には違和感を覚えるというか、共感できず、なかなかページが進まない。
でも、なるほど~、作者は意図的にそうしたのか・・・と、最後まで読んで思った。
拓人は普通のリアルな若者。こんな思いをしている人はたくさんいるのだろう。現代の社会で今どきの就活をしていたら、人を勘ぐって斜めに見たり、人の言葉を素直に受け取れなかったり・・・(やっぱり気の毒だ)
自分をアピールする? 自分を作る? (エントリーシート、ツイッター、FB、SNS、グルディス・・)
企業や会社の欲しがる人間になる・・??
瑞月が隆良に、("子ども"が大人に応援してもらえるように)過程をアピールするんじゃなくて、これからは結果を見てもらわなければ・・・というようなことを言うけど、
見せたい?見てもらいたい?見てもらって評価してもらいたいの?
アピールなんかしなくても、見てもらわなくても、「頑張った」「うまく出来た」って自分で思うだけじゃいけないのかな?過程を楽しめばいいじゃん。褒めてもらうのが目的?評価されるのが目的なの?
瑞月も拓人も、若いなあ。(←辛口 若い人だけじゃないね)
「光太郎は自分の人生の中にドラマを見つけて、そのドラマの主人公になれるんだよ」って、瑞月さん、あなただってなれるよ。あなたはあなたの人生の主人公。あなたの人生はあなた次第。
大卒(新卒)じゃないとダメとか、年齢制限とか、一括一斉就職とか、今の社会のやり方は確かにおかしい。会社の都合のいい人間をとりたい、共存精神(助け合い補い合う)ではなく、勝ち負け生き残り弱肉強食の今の社会が問題。
就活は会社との相性だと思う。会社は欲深いもの。その欲にムリに合わせようとするから、苦しくなる。
欲が大きければ苦しみも大きくなる。苦しみが大きい分、(うまくいけば)喜びも大きい。でも小さな幸せを積み重ねたければ欲を小さくするといい。どちらを選ぶかは人それぞれだけど。
人それぞれの事情もある。
でも、やりたいことをやればいいと思う。どの会社ではなくて、何をしたいか、何ができるかだと思う。やりたいことでなくても、自分なりに楽しんでしまえばいい。生きて(食べて)さえいければなんとかなる。幸せは自分の心がきめる、自分の思い方次第だから。
人がどうこうじゃなくて、自分がどうしたいか。自分がどんな人になりたいか。どう生きたいか。
途中で読むのをやめようかと思ったけど、最後まで読んでよかった。
みんな、(不完全な)社会の中でその時その時を、自分に出来る力で精一杯生きているんだね。
みんなが助け合い補い合える、もっとやさしい社会、共存社会になればいいなあ。
何者でも何様でもない、ただの人間。
みんな弱い人間。ひとりひとりがみんなちがう人間・・・
「自分は自分にしかなれない」
星4つ
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