「バッハとクラヴィコード~J.S.バッハ&C.P.E.バッハ鍵盤作品集」(Fuga Libera:MFUG 508)(クラヴィコード:ジョッスリーヌ・キュイエ)(録音:2004年10月8日、ジェティニェ、ラ・ガレンヌ・ルモ城)が店頭にあったので買ってみました。
クラヴィコード、チェンバロなどの鍵盤楽器については、チェンバリストの渡邊順生氏のサイトに詳しく解説されていますので参照して下さい。チェンバロが弦をジャックではじいて音を出すのに対して、クラヴィコードは弦をタンジェントと呼ばれる金属片で下から突っついて発音します。チェンバロでは音の強弱や微妙なニュアンスが出ないと言う欠点があるのに対して、クラヴィコードではタッチしだいで音の微妙な強弱、ニュアンスが弾き分けられ、多彩な表現が可能なデリケートな楽器ですが、クラヴィコードでは演奏者にしか聞こえないくらい小さな音しか出ないため、演奏会や録音には不向きで、今まであまりCDも多くは発売されていないのが現状です。大バッハのみならず、大バッハの次男であるカール・フィリップ・エマニエル・バッハもこの楽器を特にお気に入りであったようです。彼の著書「正しいクラヴィーア奏法」にも“鍵盤楽器奏者の実力を推し量るには、クラヴィコードが最適な楽器である”との記載があるようです。
このCDは、クラヴィコードの魅力を最大限に引き出した録音で、解説書には録音技師のフレデリク・ブリアンのコメントも載っており、興味深いCDと思います。極めて近接したマイクロフォン・セッティングを行っているようで、確かに従来のクラヴィコードの録音に比べると遥かに味わい深いように思います。チェンバロとクラヴィコードの両方を演奏したことのある人でないとこのCDの本当の良さは分かり難いのかも知れませんが、聴いて損はないCDでしょう。
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