メサイアのDVDの再版盤が発売されていたので、買って見ました。左のDVDで、「ヘンデル オラトリオ《メサイア》全曲」(指揮:クリストファー・ホグウッド、アカデミー・オブ・エンシェント・ミュージック)(収録:1982年1月、ウェストミンスター大聖堂)(ワーナーミュージック:WPBS 95058)です。1754年の捨子養育院で演奏された時の版による演奏です。添付の矢澤孝樹氏による解説は、非常に良く分かりやすく、且つ面白いです。詳細は省略しますが、オリジナル楽器を使用して、具体的な上演記録として残された版になるべく従い、歴史的状況の再現を徹底した録音です。非常に禁欲的で、贅肉が削ぎ落とされた演奏ですが、ウェストミンスター大聖堂の残響がかなり効果的で、それとの調和により魅力的な雰囲気を醸し出しています。映像のカメラワークも斬新で、今のDVDではなかなか見られない趣向が沢山あります。詳細は見てのお楽しみですが、ソリストのアップ映像とカメラ目線にはちょっとドキッとして、落ち着かないのですが、妙な緊張感があります。“悪役フェイスのデイヴィッド・トーマス”(矢澤氏の表現を借りてます)のカメラ目線はなかなか迫力があります。兎に角、新鮮なDVDです。再版なので見ている方も多いと思いますが、まだの方は是非御覧下さい。買って損はない演奏です。このウェストミンスター大聖堂でのメサイアの映像を見ていると、やはりヘンデルはイギリスの雰囲気に合っているなぁとつくづく感じます。
このDVDを買うまで時々見ていたのが、右のDVDで、「ヘンデル:オラトリオ《メサイア》(モーツァルト編曲版)」(指揮:ヘルムート・リリング、管弦楽:シュツットガルト・バッハ合唱団、合唱:ゲヒンゲン聖歌隊)(収録:エルヴァンゲン教区教会、シュツットガルト近郊)(Pioneer:PIBC 1093)です。このDVDはロングセラーで、なかなか廃盤にならないので、人気があるのでしょう。解説書によると、モーツァルトはヘンデルの声楽曲を4曲編曲しているようです。仮面劇《エーシスとガラテア》(1788)、オラトリオ《メサイア》(1789)、オラトリオ《アレグザンダーの饗宴》(1790)、合唱曲《聖セシリアの祝日のための頌歌》(1790)で、これらは全て、ウィーンの音楽愛好貴族、ゴットフリ-ド・ファン・スヴィーデン男爵(1730-1803)からの依頼だったようです。原曲版と比較すると管楽器が大幅に増えています。メサイアのモーツァルト版の初演は1789年3月6日で、ダブリン初演の約47年後です。ちなみにハレルヤコーラスはやはり英語で聞かないとドイツ語では雰囲気が出ないように思います。リリングのDVDを聴いて、すぐにホグウッドのDVDを聞きなおすと、ホグウッドの演奏の清廉さが魅力的に感じます。モーツァルトの編曲も悪くはないのですが、ホグウッドと比べると、神聖さが希薄で、編成が大きいだけにややゴチャゴチャした感じが否めません。
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