釣童さんもゴロとニンニクだね、と要約されていましたが、私にも有用な部分は、イカゴロとニンニクの記載部分と思います。イカ油(脂)が素晴らしい魚の誘引効果があることは、ご存知の通りです。本では、イカの墨とか油と書かれていますが、我々の愛用しているイカゴロのことです。
この本の著者は、誘引効果の高い成分を抽出して撒き餌にするといいだろうと試みた例はあったけれど、成分に分けると誘引効果が低くなることが分かってやめてしまったという。特定の成分ではなく個々の成分がミックスされることによって誘引効果が高まるのではなかろうかと結論している。魚の嗅覚を刺激する匂いに関連がありそうだが、有効成分が水に溶ける成分か油に溶ける成分かは判明していないようだ。
イカの油の中にありそうなので脂溶性の物質の可能性がある。しかし、アメリカでは脂質について誘引効果はないと批判する人達がいる。脂質に誘引効果は無く、魚の嫌う匂いをマスクして相対的に忌避効果を薄めているだけだと言うのである。フイリッピンではイカ墨を親指大の薄いビニール・シートにくるんで、小さな穴を開けて糸をしゃくりながら沁み出るアミノ酸(水溶性)がマグロを誘引するだろうと言っている。
市販されている遠投用のイカゴロは塩蔵し乾燥濃縮したものであるが、乾燥方法によっては有効成分が水溶性にしても脂溶性にしても化学変化する可能性がある。イカゴロを冷凍乾燥処理してオキアミを加えて固形化しているものは、低温処理と冷凍化がされているので、酸化しやすい脂溶性のものも劣化が遅れる可能性がある。水温の低い時にはチョウチンゴロの方が効果がいいとか、アカハラには新鮮な方がいいとか、イカゴロも深い。コマセなのか食わせなのか。ところで、乙部でのイカゴロの実験的海中投棄はどうなったんでしょうか?