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オスプレイは本当に震災支援に必要なのか?

2016-04-24 21:07:12 | 政治
 熊本地震での災害対応で、米軍のオスプレイが動員された。
 周知のとおり、オスプレイは、事故が相次いで報告されたことから安全性に強い懸念がもたれていた。それがいま、救援物資などの輸送にあたっているわけだが、これは震災の政治利用ではないかという批判が出ている。
 たとえば、4月18日付朝日新聞電子版の記事によれば、自衛隊にも約60人乗りの大型輸送ヘリCH47が約70機あり、約30人乗りのオスプレイが本当に必要なのかという疑問が示されている。そもそもオスプレイの利点は、「航続距離が長い」とか「ふつうのヘリよりもスピードが速い」というようなことだと思うが、日本国内の拠点から被災地に救援物資を運ぶときにそうした点がどれほど重要なのか。むしろ、積載量がそれほどではないというデメリットのほうが大きいのではないか。しかも、そのために沖縄からわざわざ岩国基地を経由して熊本にやってきて、熊本県内を往復するだけなのである。
 にもかかわらずオスプレイが登場したということで、なにか別の意図があるのではないかという疑念がもたれることになるわけである。その疑惑を裏書するように、先の朝日新聞の記事では、「オスプレイの支援は必ずしも必要ではないが、政治的な効果が期待できるからだ」という防衛省関係者の発言も紹介されている。

 その「政治的な効果」とは、いうまでもなく「オスプレイ慣らし」である。
 救助にきてくれるというのを相手に批判がましいことはいえない。そこにつけこんで、オスプレイが「災害救助にあたった」という既成事実を作ろうというわけである。それによって、今後オスプレイ配備に対して反対しにくい空気を作る――災害という弱みにつけこむ卑劣なやり方だ。

 この一件に、私は東日本大震災のときの出来事を思い出した。
 その少し前にアメリカ国務省で日本部長を務めていたケビン・メアという人がいて、この人が沖縄県民は「ごまかし、ゆすりの名人」、「怠惰でゴーヤも育てられない」などと沖縄を侮辱するような発言をしたことが問題になって更迭された。その直後に、東日本大震災が発生する。そして、アメリカはその震災対応にあたるタスクフォースのメンバーにこのメア氏を起用したのである。それを問題視する意見は当然あったものの、あの大震災のときのことだから、救援にくるというアメリカ側にあれこれ文句をつけることもできず、結局その人事となった。
 このケビン・メア氏の件も、災害時という弱みにつけこんで不祥事で更迭された人間の復権をはかったのではないかという疑念がぬぐえない。そして、そのように考えると、今回熊本地震でオスプレイが投入されたのにも同じ構図があると考えられるのではないか。先に紹介した防衛省関係者の証言は、その証拠といえる。そういうことだとしたら、この大震災さえ政治利用しようとする冷酷な所業といわなければならない。


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