NO.5[駐在事務所]
空港から乗り合いタクシーで10分位行った所にサマンデンと言う地区があります。市内の中心は狭い所に沢山の住居や店が雑居し、この辺りは住宅も庭があり商店街があって閑静な住宅街(日本とはちょっと違いますが)、Sさん曰く「ワガドゥグの杉並区」という事で、その一角に事務所兼住宅が在ります。
薄いオレンジ色のコンクリートフェンスに囲まれ鉄の扉がいかにも堅固に中の建物を包み、その扉を押すとギギギギーと鉄とコンクリートの擦れる不協和音を奏でます。もしかしてチャイムも兼ねているのでしょうか。
向かって右が城主ムッシュ・バルコマのメゾン、そして左側が私達の住居で、着いた時が夜でしたのであたりは暗く、そして古めかしい建物があり、その時の心境はディズニー、いや浅草花屋敷の恐怖の館にでも入るかの様にドキドキワクワクしながら事務所の扉に近づくと壁の上で何か動いております。壁面をチョロチョロと、恐る恐る凝視して見ると何とトカゲとヤモリではありませんか!
私はこのタイプが非常に苦手で一瞬後ずさりしましたが、アフリカの環境に順応しているSさんは何事も無いかの様に扉の鍵を開けています。周りを注意しながら部屋に入ると薄暗い電球に浮かぶ白い壁の部屋、そして中央には白いプラスチック製の丸テーブルに同様の椅子、奥にはご当地風のごつい応接椅子があり、天井にはヤモリが1匹。
ここではごく普通の事も初めて経験する世界は何事も刺激的に感じられます。「この部屋をお使いください。」とSさんに促され部屋に入ると8畳間位の広さで目も慣れて来たせいか、思っていたよりは良い感じです。
居間兼オフィスで少し寛いだ後、食事をして無かったので近くのレストランで食事をする事にしました。「CAFEINN」と言って道路沿いのアフリカ風カフェテラスの店は、大きい交差点の近くで夜も人や乗り物が行き交いとても賑やかで、FLAGというビールを頼みSさんに注ごうとすると「ブルキナでは自分の飲み物は自分で注ぎます。知っておいた方が良いですよ。」と言われ、周りを見ると皆その様でした。
ここでまた日本との習慣の違いを実感し、疲れもあり気温も高いせいか1本のビールがとても強く飲み終える頃は、かなり酔いが廻り目も半開き状態になり、千鳥足で事務所に引き上げました。
さて、そこからまた一難去ってまた一難、荷物が届かなかったのでシャワーをするにもタオルは無いし着替えも無く2日前のまま、タオルはSさんに借りてとりあえず2日分の垢を落としベッドに転がり込みました。ところが暑苦しくなかなか寝付けず、ウトウトしていると足のほうが痒くなって耳元でプーンという小さな音が聞こえます。
ブルキナファソはハマダラ蚊によるマラリア感染が多いし、Sさんも以前罹ったと聞いていたので、これは一大事と電気を点け蚊の捜索と駆除に執りかかり4~5匹は撃退したでしょうか。敵もさる者で電気を点けるといなくなり消すと現れ、蚊との攻防を繰り返すうちに寝てしまったらしく、いつの間にか朝になっていました。
アフリカ・ブルキナファソの一日は暑く、そして私にとってとても過酷で、これまで日本の生活にどっぷりと浸りきっていた私は、これから3年間生活をすると思うととても気が重くなってきます。と同時に大変な所に来てしまったなと思ったのは正直な心境かも知れません。
次回をお楽しみに・・・・
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