西アフリカぶるきなふぁそ親爺暮らし

2003年、50歳にて西アフリカのブルキナファソに渡りボランティア。歳月を経ていまではすっかりブルキナ親爺になりました。

迎春*中年派遣員奮闘記(その13)

2016-01-03 | 奮闘記

NO.13[ワガドゥグ独り歩き]

ブルキナファソに来て1週間ほど過ぎた頃、Sさんよりワガドゥグの街を早く知るのに一人で行動して見てはと言う提案があり、それまで何処に行くにしても道や場所が解からないので行く所へついて行くのが当たり前と思っていましたので、とても不安でしたが思い切って行動して見ようと決心し、ちょうど郵便局まで行く用事があったのでタクシーで行く事にしました。乗る場所と降りる場所の地名を聞いて身支度を整え、その時の心境は3~4歳の子供が初めてのお買い物に行く時の様です。

大通りに出ると緑色のタクシーが沢山走っていて、いつもSさんが車を止める時の様に右手を出し車に合図をすると、当たり前の事ですが私の所に止まってしまいました。タクシーの運転手と乗っていた乗客がこちらを見ています。緊張していたのか恐る恐る運転手に「パームツリーホテル」と言うと、ちょっと時間が止まったかの様に無言の時間があり運転手は進行方向を向き行ってしまいました。

ちょっと発音がまずかったかと思い次のタクシーが来たので気を持ち直し何回か練習をしながら手を差し出し、タクシーが止まると今度は少しゆっくりと「パームトゥリーホテル」と言いますと,またしても運転手が首をかしげながら走り去ってしまうではありませんか。

自暴自棄になり、もし今度行かれたときは帰ろうと思いながらタクシーを待ち、もう1度手帳に書いた場所に目を通し、よく見ると「パームビーチホテル」だったのです。

やっとのことで車に乗ったのは良いのですが今度はパームビーチホテルの場所が解らないのです。こちらのタクシーは乗り合いなので決まったルートしか通らず料金もその範囲であれば200セファー(40円)でそこから外れると高くなり、日本のタクシーのようにその場所まで連れて行ってはもらえないので、その場所に行ったら運転手に声をかけて止めてもらいます。

その時タクシーには5人くらい乗っていましたので止まるたびに周りを見渡し注意深くホテルを探し「海がないのにパームビーチ、それはないだろう~。」などと呟きながら行くと繁華街の十字路の角のところにホテルはありました。

そこでからプレジデンス(大統領官邸)の近くの郵便局まではタクシーのルートが違いますので乗り継ぎます。ところが今度はプレジデンスの場所を知らないのでどちらの方向に行くタクシーに乗れば良いのか解かりません。

考えても仕方がないので十字路の所でそれぞれの方向に行くタクシーに声をかけまくり、やっと思いでプレジデンス方向のタクシーに乗りまた周りを注意しながら行きますと前に白い大きな建物が見え一段と豪華な建物なのですぐそれと解りました。

このあたりは政府の色々な機関が集まっており機関銃を持った警官が沢山いて、なんとなく繁華街とは異質の雰囲気で、タクシーの運転手はプレジデンスのちょっと手前で止まりました。

郵便局はプレジデンスの並びにあり500メートルほど歩いて行くのですが、道を歩いていると機関銃を持った警官がこちらを見ていてなんとなく不気味で、何も悪い事はしていないのにもかかわらず、もし職務質問でもされたら言葉を知らないので大変だと思い、あまり周りは見ない様にして歌を口ずさみながら自然と早足で歩きました。

郵便局に行くと奥の入り口の左側に私書箱があり、そのナンバーの所を鍵で開け郵便物を取り、これでひとまず用事は済みました。

 さて今度は帰り道です、郵便物を取り終えて表通りへ出て、また来た道を引き返し歩きましたが警官のいる所を通るのが何と無く嫌なので暫くタクシーの来るのを待っていましたが5分経っても10分経っても車は来ません。

仕方なく警官のいる所をまた通る事にしました。人間の心理状態というのは不思議な物で、一端その様に思い込むとなかなか払拭出来ないもので、警官の方は何とも思っていないのに、こちらの方で妙に意識過剰になり、前を通り過ぎる時にいかにも郵便局へ行って来たと解る様に封筒で扇子の様に扇ぎながら、警官の方を見ない様にと思っていると見てニコニコしてしまったり、後で思うと御目出度い東洋人に見えてしまったかも知れません。

機関銃と警官の姿が見えなくなるまで振り向かず歩いて行くとタクシーに乗ることをすっかり忘れ繁華街まで来てしまいました。

とにかく早く帰ろうと思いタクシーの運転手に暗記した手帳に書いてある地名をいうとまた通じません、地名はサマンデンヌゴグドロン、日本人にはどうも解釈のつかない発音です。(本当はサマンデン・ヌーボー・グドロン)

ここでも何台か行かれた後やっと解かった様でとりあえず乗り込みましたが町並みが皆同じに見えて何処で降りたら良いのか解からず、運転手が後ろを振り向き盛んに聞くのですが一向に解かりません。

だんだん焦りも出て来てあまり遠くに行く迄に降りた方が良いと考え、お釣りを受け取るのも忘れ、とりあえず周りを見ても同じような店や屋台の形で何処が事務所か見当がつかず、きっと運転手は自分の言った場所と違う場所に来てしまったのだ。と思うと急に不安に陥り、もしこのまま夜になったらどうしようと思うと居ても立ってもいられず緊張し喉が異常に渇いたので、ミネラルウォータを買ってそれを飲みながら一目散に無我夢中で歩き出しました。

途中何回か聞きながら事務所を探したのですが全然見当たらず、3時間くらい同じ道を行ったり来たりしているうちに暑い事もあり疲れも出て来ました。冷静に冷静にと自分に言い聞かせ、少しずつ距離を伸ばして行くと何時も行く店のお兄さんが立っていたので、そこでやっと解かりました。何時もの道を反対の方向から来たので解からなかったのです。

何しろ初めての道で見当もつかず何処も同じ所に見え、パニック状態でまるで迷路に入った時の様な状態でした。

私はやっとの思いで事務所に戻り、Sさんに「いや~思ったより簡単にすんなり行けましたよ。」と苦笑しながら封筒を渡すと、郵便局の私書箱は共同で使っていて他の人の封筒も持って来てしまった様です。

また翌日返しに行く事態になり、顔もこわばり身も心も疲れ果てた私にとって、気の遠くなるような心境でしたが、とりあえず明日に備え早く寝る事にしました。


次回をお楽しみに・・・・



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