命のカウントダウン(健康余命3605日)

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抗菌性飼料添加物

2019-12-08 12:30:24 | 抗菌物質
家畜の成長を促進する為に抗菌薬を使っていることをご存じでしょうか?

以下の記事は、酪農学園大学 動物薬教育研究センターの 2019年1月23日付けのトピックスをベースにさせていただました。

https://cvdd.rakuno.ac.jp/archives/2873.html 

食用動物(家畜)に使用する抗菌薬には、大きく二つに分類できます。一つは皆様方がご承知の医療用と同じく感染症の治療に用いられる動物用医薬品としての抗菌薬です。これは、何の抵抗もなく理解できますよね。ペットがけがや病気になり獣医さんを受診して、薬をもらうときに処方されることもあるでしょう。
二つ目のカテゴリーが問題でして、これは家畜特有のものでペットや人間には無縁のもの?です。家畜の成長促進・飼料効率の改善・生産性向上目的に使用される抗菌薬です。これを特に抗菌性飼料添加物と呼んでいます。実際には家畜の餌に微量(餌1000kgに10g程度)の抗菌薬を飼育時期ごとに比較的長期間投与することになります。家畜に対して闇雲に投与されているのではなく、抗菌薬の種類、対象家畜と飼育時期、投与期間は飼料安全法で厳格に決められており、これを遵守することが求められています。微量の抗菌薬を家畜に投与すると成長促進効果があることは、一般的に信じられないことだと思われます。

なぜ微量の抗菌薬を餌に混ぜて給与すると増体効果が得られるのか?結論をいえば残念ながら今でも良くメカニズムがわかっていないそうです。考えられる機序としては、低濃度でも抗菌薬なので腸内細菌を減少させ、発酵生産物の生成を抑制することで、解毒のためのエネルギー消費を軽減することが考えられます。また、腸管内の有害細菌を減少させ細菌が産生する毒素などの成長阻害要因を抑制することなども考えられます。

よくわからないけれど、飼料の効率が上がるのです。効率よく育つのです。理由はよくわかりませんが・・・・これが科学的な姿勢なのかなぁと私は相当疑問に感じております。
そして、この理論が正しければ、人間にも応用出来て、飢餓も少し改善できそうに思うのですが・・・・
動物には安全であるが、人間には安全を保障されていないとか・・・・都合の良い理論を展開されて誤魔化されてしまう気がします。 実際はどうなのでしょうね?倫理的に実験不能かもしれないですね。(でも、動物実験は超大規模に済んでいる!!)
 
話を戻しましょう。つまり少ない餌で微量の抗菌薬を与えることで効率よく家畜を肥育することが出来るのです。飼料添加物は外国から安い食肉が輸入されることを考えれば、国内での生産コストを減少させますし、安全性に問題がないのであれば畜産にとって極めて有用な資材といえます。
安全性に問題がなければ!!  ここが問題です。

このような抗菌性飼料添加物ですが、投与を行えば家畜の糞便中に薬剤耐性菌が増えることが知られています。
そこでEU(欧州連合)は2006年1月から抗菌性飼料添加物を餌に添加することを全面的に禁止しています。また、2015年にドイツのエルマウで開催されたG7サミットの首脳宣言でも、「リスク分析がない場合は成長促進のための抗菌薬の使用を段階的に廃止する」と述べられています。このように国際的には畜産にとって有用な抗菌性飼料添加物の存続が厳しい状況にあります。

では日本の状況について心配する方も多いと思われるので以下に説明します。日本では農林水産省の成分ごとの要請を受けて内閣府の食品安全委員会により、家畜に抗菌性飼料添加物を与えることにより選択された耐性菌(これをハザードと呼んでいます)が、食品を介してヒトの健康にどのような影響を与えているのかを、論文などの最新の科学情報を基に評価を行い、ヒトに対するリスクの程度を定性的(低度、中等度、高度)に示しています。これを食品媒介性健康影響評価(リスク評価)と呼んでいます。リスク評価結果を公表するに当たって、消費者や農家の皆様方などに情報を開示して意見を求めています。農林水産省は食品安全委員会の評価結果を受けて、リスクが低減化する方策(リスク管理)を実行しています。抗菌性飼料添加物については、リスクが無視できる程度以上(低度)であれば禁止措置を取ることになっています(詳しくは2017年8月2日の本コラムをご覧ください)。実際に2018年7月にコリスチンとバージニアマイシンの2品目が禁止となっています。なお、EUで抗菌性飼料添加物を全面禁止したのは、科学的なデータに基づいたものでなく「予防の原則」を適用したためと言われています。「予防の原則」は、科学的に不明確な状況下で、重大であるかも知れないリスクに対して、科学的な探究の結果を待たずして適応されるリスク管理の方法です。したがって、あくまで科学情報を基に考える日本とは全く異なる考え方の下にリスク管理が行われたことになります。「予防の原則」は一見消費者にとって良い方法に見えるかもしれませんが、このことを連発すると科学が衰退し、わが国の農業に与える影響も大きいことを理解して欲しいと思います。

EUは、「危ない可能性が否定できないから禁止」
日本は「危険だと証明できないから禁止しない」

どちらが正しいのでしょうか?皆さんのご判断はいかがですか?
上記は、下記の表の緑の部分(175t)の問題です。