Rスズキの毎日が大食い

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荻野久作~オギノ式~

2006年07月21日 | Weblog
昨日の「そのとき歴史は動いた・荻野久作の受胎期発見」はなかなかよかったです。

ほんの80年前まで人間はいつ妊娠するのかわからなかったのでした。

そこで荻野先生は子宮筋腫などの手術の際に黄体を確認したりしてと排卵日を確定することに勤めました。排卵日がわかった女性たちにはまた月経の開始日とその終わりを聞き取り調査をしたのですね。当時の女性にとってたいへん答えにくいものであったのにもかかわらず、聞きだすことが出来ました。これはいつもやさしく親切な荻野先生のためならと、患者さんたちが協力してくれた賜物です。

すると、当時の欧米の学説では月経後12~16日後に排卵があるというのが定説だったにもかかわらず、荻野先生の調査の結果はそうはなっていませんでした。

あるとき、月経と月経の間におなかが痛くなるという患者さんが来院し、先生がこれは排卵痛ではないかと推察します。患者さんは
「次の月経の二週間前になるとおなかが痛くなります」
といいました。
「前」ということに思いいたり、荻野先生は今までのデータを見直します、すると、全ての排卵日のデータは次の月経の12~16日前の5日間におさまるではありませんか。

次に先生は3人目の子供を欲しがっていた妻に対して実験を行います。まず排卵日前後5日を外した日に性交し、妊娠しないことを確かめます。8ヵ月後今度は妊娠するべくおもったとおり妊娠となりました。

荻野久作先生は新潟の勤務医をしながら、学説を発表しました。しかし一介の医師の論文は日本で認められず、単身自費でドイツに渡って論文を発表するのでした。
これもさして注目されず、だめかと思われたところ、いままでかたくなに避妊を認めなかったカトリック教会が現れます。オギノ式は唯一教皇が認めた避妊法であるとして広まることとなったのでした。

しかし皮肉なものでオギノ式は避妊法ではなく、受胎期を確定する方法です。オギノ式によって完全な避妊は出来ません。不完全な避妊のため無用な人工妊娠中絶をひき起こしたというのは、荻野先生の本意とするところではありませんでした。

全ての女性の幸福と安全を願って学会の誘いを断り、勤務医を続けた荻野先生の人生を讃えたいと思います。