湖のほとりから。

花と空と心模様を写真と詩と文に託して。

母の痕跡

2020-09-09 09:23:00 | コラム
『ねえ、帰ってきてよ
お願いだから。
一生のお願いだから、ねぇ。
また、ちゃんと世話をするから
私は誰と時間を過ごたらいいの
一緒にお茶を飲みたいの
話がしたいの
だから、帰ってきてよー』


そう言いながら
目の前にいる母に
必死でお願いしていた。
必死すぎて泣いていた。


目の前の母は
誰かと一緒にいて困り顔

『そうやねー、難しいゎー
そうか、帰ってきてほしいかー
しゃーないなぁ、帰ろうか』

『ほんと?ほんとなん?
さ、帰ろう、帰ろうよ』


悲しい涙が、嬉しい涙に変わった


けれど泣き止もうとしても
どうしても、すぐには止められない
子供のように泣きじゃくっていた


ふと、自分の涙で目が覚めた


枕を濡らすとは
よく言ったもの
本当に濡れている


ひきつるように泣く自分を
別の自分が見ていて
抱きしめてやりたくなる


現実であってほしいと思うのと同時に
決して決して現実には起こり得ないこと。


覚めた自分と胸を熱くする自分に
しばらく泣き止むことはできなかった。



9月に入ってから
何故か母が恋しくて恋しくて
私の中の子供が母を求めてた


ご仏壇にある母の写真に向かって
『会いたいよ〜』と
涙ながらに
毎日、お仏壇に手をあわせてた



台風が九州を横断してしまおうかどうかの日


その夜の夢の中に
母の姿があったのに、、、。


あれから
家の中に
母の新しい痕跡を探してる


けれど、何にも見つからない


何一つ普段と変わりはしない
あまり前のことだけど。



母の痕跡は、
私が見た夢の中の姿だけ



父と母が並んだ写真に向かって


そちらで
幸せに暮らせてますか?


いつもいつも
何故か聞いてしまう


誰にどれだけ優しくしてもらおうとも
拭えない気持ち


時々、陥ってしまう

納得済みの中の寂しさ


まだまだ
時間が必要なんだと思わされてしまう。


















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