ツキさんとはしばらく会えませんでした。
居そうな場所で、毎日名前を呼んでいたのに、出て来なかったので、
ショバを変えたのかな。
行方不明になったのかな。
もう会えないのかな―と。
ツキさんが自分で選んだのなら仕方ないと思いました。
猫は気持ちのいい事、幸せになる事を選ぶのが、
私よりもずっと上手なのだと、
いろいろ観察していて思ったから。
人間一般にとって不幸に見えても、
猫にとってもそうなのかが疑問に思えてきていたから。
昨日、昼休みが終わって会社に戻ろうとした時、
自分から50メートルくらい離れた所にある、大きな水溜りのほとりに、
ツキさんらしき縞猫がいました。
無事なのか確かめて見たかったのです。
「ツキさーん!」と呼んでみました。
そしたら縞猫は、大きな声で鳴きながら走って来ようとしたのです。
とりあえず、まだ無事でよかった。
でも…、
「ごめんねー。夕方まで待っててねー!」
と私は叫びました。
会社からの帰り、同じ場所でツキさんを呼ぶと、
ツキさんが出て来て、甘えて来ました。
しばらくなでたり、写真を撮ったりして、最後に
「気が済んだら帰って来ていいからね。
明日とあさって会社に行ったら、また休みになるから、どう?」
と言って分かれました。
ツキさんは、里芋畑の畝の中に隠れながら、
行ってしまいました。
…今度はいつ会えるのでしょう。