蚊取り線香は、なぜ「うず巻き」型になったの?

猛暑が予想されている今年の夏。昨年のデング熱騒動でも媒介となった蚊だが、昨年以上の猛暑となれば蚊の発生率も高まるだろう。蚊に刺されないようにする方法はさまざまだが、その代表的なものといえば蚊取り線香である。

誰もが知っているあの金鳥の渦巻きは、どのようにつくられたものなのか? そこで、100年以上蚊取り線香『金鳥の渦巻』を販売する、大日本除虫菊に詳しい話を伺った。――蚊取り線香『金鳥の渦巻』は、いつ頃から販売されているのでしょう?

当社創業者である上山英一郎が、アメリカの植物会社の社長と出会い、殺虫効果のある除虫菊の種子を手に入れたのがそもそものきっかけです。

当初は除虫菊の粉を粉末にして、のみ取り粉として使われていましたが、日本人が昔から悩まされている蚊の対策にも使えないかと考えたのです。その後、仏壇線香にヒントを得て、1890年に世界初の棒状蚊取り線香を発明しました

――最初の蚊取り線香は棒状だったとは! それでは、いつからあの渦巻きの形になったのでしょう?

棒状の蚊取り線香は、40分程度で燃えつきるという弱点がありました。細いため煙が少なく、2〜3本同時に燃やす必要があったのです。長くすると折れる心配もあり、運搬に不便ということも。そこで、創業者夫人が、長時間燃焼させるために線香を太く長くして“渦巻き型”にすればいいというアイデアを思いつきました。生産方法など試行錯誤の末、着想から7年後の1902年に、渦巻き型の蚊取り線香を発売することになったのです

――夫人はアイデアウーマンだったんですね。蚊取り線香を使用するときに気になるのが煙ですが、もくもく焚いたとき、子どもやペットには影響はないのでしょうか?

哺乳類など恒温動物には安全性の高い殺虫成分ですので、お子様やペットがいる場所で使用していただいても問題ありません。ただ、蚊取り線香の煙で、目や喉などを痛める方もいるので風通しのいい場所で使用してください。ちなみにカブトムシなどの昆虫は、蚊と同じように効いてしまいますので、同じ空間での使用はやめてください

――蚊取り線香が人には安全なものだということは分かったが、古くからある渦巻きタイプと液体タイプ、どちらの方が効果があるのでしょう?

『金鳥の渦巻』は、風通しのいい場所での使用に最適です。蚊取り線香は煙が殺虫成分を運ぶキャリアになり、拡散性が高いので、たとえば窓を開け放しているお部屋・庭先、お外での使用に適しています。一方、『水性キンチョウリキッド』は煙がでませんので、密閉度の高い室内での使用に最適です

場所によって使い分けるのがよさそうだ。蚊取り線香誕生の裏に、創業者夫人あり。蚊取り線香というアイデアに感謝しつつ、虫刺されに気を付けて今年の夏を乗り切りたいものだ。

●取材協力
大日本除虫菊元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2015/07/39904488_m.jpg

池谷梢 /企画・エフェクト


蚊取り線香の匂いがすると、夏だなぁ…と思いますよね。

自分は好きな匂いのひとつなんですが、妻はダメみたいで、マイルームでのみ使用していますよ。