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民進党の蓮舫代表。原発ゼロ政策をめぐり窮地に追い込まれている=2月23日午後、東京・永田町の民進党本部(斎藤良雄撮影)
(産経新聞)
民進党の蓮舫代表が「2030年代」としている原発ゼロ目標の前倒しについて、3月の党大会での年限表明を先送りする考えを示した。次期衆院選の公約として「30年」を掲げることを検討してきたが、党内の意見集約や支持団体との調整が難航。自民党との対立軸を示すはずが、蓮舫氏自ら求心力を一層低下させ、かえって自民党を利する結果となった。
「年限より中身にこだわりたい」
蓮舫氏は2月27日、福島県飯舘村で記者団にこう答え、党大会で前倒しの年限を示すのを先送りする考えを正式に表明した。
党執行部は「30年代」としてきた原発稼働ゼロの達成目標を、最大9年の前倒しとなる「30年」に繰り上げる方向で検討を進めてきた。次期衆院選で脱原発の姿勢を強調し、自民党との対立軸を明確にするのが狙いだ。早期の衆院解散は遠のいたとの認識から、3月の党大会で前倒し年限を示せないか模索していた。
蓮舫氏の意向を受け、党エネルギー環境調査会の玄葉光一郎会長は2月2日の幹部会合で、省エネ化の進展などを踏まえて原発ゼロ目標を「30年」に前倒しし、「原発ゼロ基本法案」の策定を検討すると表明。党内の意見集約や支持団体との調整に乗り出したが、いずれも難航している。
エネルギー環境調査会が設けた党内議論では、脱原発派から「さらに高い目標が必要だ」(近藤昭一元環境副大臣)と一層の前倒しを求める声が出た一方、労組出身者らは「いつから重要な政策を一部の幹部だけで決める政党になったのか」(大畠章宏元国土交通相)と真っ向から反対。調査会としての方針は依然、まとまっていない。
民進党最大の支持団体である連合も「『30年代原発ゼロ』ですら相当にハードルが高い」(神津里季生会長)などと公然と批判。連合傘下の電力総連幹部は党大会での年限表明にこだわっていた蓮舫氏と面会した際、党大会で「30年ゼロ」を掲げた場合は衆院選で民進党候補を推薦しない方針まで伝えた。
一方の自民党は、民進党の原発政策見直しに向けた動きに脅威を感じるどころか、自ら内輪もめを起こして求心力を低下させた蓮舫氏の対応を余裕綽々に受け止めている。
エネルギー政策に詳しい自民党議員は「『30年代』から『代』の1字を取ったところで有権者へのインパクトは小さい」と述べ、「30年原発ゼロ」を掲げる意味を根本から疑問視する。ある党幹部は「仮に民進党が『30年ゼロ』でまとまったとしても自民党にとって脅威にはならない」とどこ吹く風だ。
また、党内の賛否が割れていることや連合との関係悪化が報じられたことで、民進党内のガバナンス力のなさが改めて浮き彫りになったことにも「党内がまとまらないことで政権を失ったのに相変わらず学ばない党だ」と冷ややかな笑いを浮かべる。
民進党の支持率は昨年9月の蓮舫氏の代表就任以降も低迷が続いている。「批判ばかりしている」との指摘を踏まえ「提案型」を打ち出したものの、支持率の推移を見る限り「選んでもらえる政党」には程遠い。自民党からは「蓮舫氏が代表でいるかぎり安泰だ」とまでささやかれている。指導力にみそを付けた蓮舫氏に、起死回生の一打はあるのか−。
学習能力のない政党が野党第一党なんだから、国民の意識も低いと言わざるを得ないのかもね。