ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

2021中秋の月

2021-09-21 | にぎわいの家・奈良関連
本日、9月21日は、中秋の名月。奈良は曇りで雨もぱらっと、月の姿は雲の中、残念です。前日、20日の月は美しかったですね。空気が澄んで、光の透明度が上がる感じ。
ほの白い光は、詩人にはぴったりですね。「月に吠える」(萩原朔太郎)とはまさにその通り!
さて、奈良町にぎわいの家は、9月末まで休館中ですが、にぎわいの家の月見?!をしようと、外の格子にスタッフが作ったタペストリーを掲げました。
短歌を二首作り、月の丸に見立てて?配置してみました。レトロな字体に、黄色い月にうさぎにススキは刺繍。スタッフの力作です。
短歌の世界から遠ざかってましたが、この頃、こんな風に簡単?に歌を創るのが、ちょっと楽しくなっています。
お近くに来られたら、格子の前で止まって是非、ご覧くださいね。





①奈良町にぎわいの家 6月事業変更案内 ②NHK土曜ドラマ「今ここにある危機とぼくの好感度について」

2021-05-29 | にぎわいの家・奈良関連
①前のブログで、奈良町にぎわいの家の「森川杜園企画」他、案内しましたが、コロナ対策のため、休館が6/20まで延長になりました。
それに伴い、イベントの日程変更、延期のお知らせを以下。
●森川杜園企画 
 『芸三職 森川杜園』著者 大津昌昭氏 トーク 6/27(日)午後2時 に変更
  座敷展「杜園につながる「絆」展」 6/25~27 まで
●小町座一人芝居企画 百年語りシリーズ「鮨屋の娘」 → 秋に延期 日程未定

②というわけで、中々、落ち着きませんが…。コロナのこと、オリンピックのこと、一つのテーマでいろんな「言葉」や「セリフ」?を見たり聞いたりしながら、まさに「危機」的な時代に生きていると感じます。そんな中でNHKの土曜ドラマ「「今ここにある危機とぼくの好感度について」(松坂桃李主演)の見事なこと!さすがのオリジナル脚本はあの朝ドラ「カーネーション」の脚本家・渡辺あや。「好感度」を得ることが生きる命題となっている現代人…それをシニカルに批評的に書くだけでなく、良く見てもらいたい若者の素直さと必死さを描き、人との出会いと自らの苦境によって主人公がなんとか前に進む姿は妙に健気です。ドラマの舞台が大学ということで、予算の確保等や広報でのイメージ戦略にがんじがらめになっている、最高学府の姿は哀れでもあります。「きっとそうなんだろうな」と漠然と思っていたことが、目の前のドラマになる痛快さ。登場人物たちは、かなり大げさなキャラで描かれていて、それも可笑しく、戯画的に書かれた作品が少ない現代、このスタイルは時代の核心に迫っているなと感心しながら見ています。というより…戯画化、パロディ化しないと、「本当のことが言えない時代」なのだとしたら…。それも含めて私たちは、ドラマのタイトルのように「今ここにある危機」におかれているのではないか…。そして、ドラマがまだ時代と拮抗できるものであるという力を確信させてくれます。一押しのドラマ、再放送の機会があれば、是非ご覧ください。

6月へ向けて~奈良町にぎわいの家のイベントから

2021-05-23 | にぎわいの家・奈良関連
奈良町にぎわいの家は、5月末まで休館しています。昨年も同じでまさか2年連続でこのようなことになるとは…ですが、6月へ向けていろいろと進めています。
①森川杜園企画第七弾イベント 
 ●トーク企画→6/12(土)午後2時から
 にぎわいの家の二軒隣に住まいした、一刀彫の名人、森川杜園。ご近所なのに?!何も知らなかった!とにぎわいの家の開館より企画を始め、7回目…。朗読劇、狂言、講演 などいろいろとしました。本企画のテキストになっている本が、大津昌昭氏の『芸三職 森川杜園』。これを読んだ時、どれだけびっくりしたかは、既にこのプログでも書きましたが、杜園の一人語りというスタイルで書かれているのです。劇作家としては、興味津々。それがもう、よどみない語りで、大津先生は演劇の方かしらと思うくらい、素晴らしい内容です。幕末から明治期の奈良町の様子が、大津先生がまるで当時の奈良町にいたかのように、杜園の目で書かれている…。この本がなければ、私は杜園魅力を堪能できなかったでしょう。もちろん、杜園の残した作品は素敵なのですが、こうした生き生きとした語りから、杜園が立ち上がってくるものを残してくださっていることは、有り難いことです。その大津先生に執筆の動機やエピソードを、私が聞くというトーク企画、人数限定で行います。
●展示企画→「杜園につながる「絆」展 6/11-13 
 地元の収集家のご協力を得て、今年は杜園の絵の師匠や弟子の作品もそろいました。座敷でゆっくり見ていただけるのは、にぎわいの家ならでは。毎年、皆さんに喜んでいただいています。昨年は杜園の生誕200年企画で春日大社でも素晴らしい展示がありました。
中でも、高円宮妃久子様の出品された根付はもう、ずーっと見ていたい感じでした。今年は秋に、奈良県立美術館でも杜園生誕200年の企画展が開催されます。
連携して盛り上げていきたいです。是非、皆様、ご覧ください。(距離をとりつつ…ですね。)
②小町座一人芝居企画
 ●百年語りシリーズ「鮨屋の娘」 6/19,20 の二日間 午後1時半からと3時からの開演
 にぎわいの家での小町座の芝居は初めてですが、座敷で、しかもお客様が往き来する中でします。
 昭和戦前に書かれた、岡本かの子の小説「鮨」を一人芝居に戯曲化しました。書いたのはもう15年前になり、小町座以外で上演しました。今、小町座の四人のメンバーが
 二十分の語りを必死に覚えています。3月の「コロナ姫」もそうですが、この芝居も主人公の娘は女学校に通っているので、またアラフィーが十代?!となりますが、途中、母親に変身するあたりは、やっとぴったり!でしょうか。でも難しいですよね。一人で状況説明して、気持ちを伝えて。
岡本かの子は、ご存じのように、あの岡本太郎画伯の母です。もう、双子みたいな親子!と思ってしまいます。かの子の歌も小説も、令和にはない、香りがいっぱい。その
言葉のかおりを「百年語り」ということで、百年の町家にふさわしい企画に、今後、育てていきたいと思います。
なお、芝居の前に、岡本かの子の紹介もかねて解説を少しします。一人芝居より、私の解説の方が不安?

以上のイベントは全て無料ですが、コロナ下で参加人数制限ありですので、奈良町にぎわいの家までお問い合わせください。→0742-20-1917
※ただし、杜園の展示企画は自由観覧ですので、問いあわせ不要です。






今年のクリスマス・リース

2020-12-01 | にぎわいの家・奈良関連
今年も、奈良町にぎわいの家の格子に恒例の大きなリースを飾りました。かなりの大きさで目をひきます。以下、にぎわいの家のスタッフによるフェイスブックより。

今年もにぎわいの家の格子にリースを飾りました。毎年、にぎわいの家では、スタッフの手作りによるリースを制作しています。緑の葉もスタッフが近くの里山からとってきたものを使いました。白いお花はスタッフが毛糸で編んでくれたものです。
昨日このリースを格子につける作業をスタッフがしていたら、「こんな暗い、先の見えないことばかり続いて、道を歩いただけでこんな華やかなものをみれる事ができて少し上むけるわ、ありがたいな」と言われたそうです。とても嬉しい言葉でした。
リースの輪には、「永遠」という意味があり、はじめも終わりもなく「生命や幸福がいつまでも続くように」という願いが込められているそうです。カラフルなリースが、冬枯れの世間を元気に色づけてくれているようですね!





奈良町にぎわいの家~春日大社関連展 より

2020-11-20 | にぎわいの家・奈良関連
春日大社関連のイベント ほか 以下、三つ、ご案内します。

①奈良町にぎわいの家・町家美術館「春日大社ゆかりの品を身近に」 ~11/23まで 無料
 毎年、秋には、町家で伝統美術を間近に鑑賞できる企画を、地元の収集家の方のご協力のもと、3日間限定で開催します。今年は、2017年に続き、春日大社関連の展示、第二弾です。今年のみどころは、江戸初期の作「赤童子」。童子というので、子ども?!なんですが、中々、貫禄があり、まるで翁のようです。とにかく、良いお顔で、装身具もやたらとモダン。まるでロックバンドのギタリスト?!のように見えるのは私だけ?ぜひ、その素敵な姿をご覧ください。また、国宝の義経ゆかりの鎧兜を描いた、大正期の大和絵の和田貫水の作品は超エレガント!細かい模様を見ていると、え?ベルエポック?なんて思ってしまいます。三幅なので、迫力もすごいですよ。モダンな当館にぴったりの作です。チラシのデザインはそんな展示作品より、切り取って再構成して作ってみました。伝統美術展のチラシをデザインする時は、元々のフォルムがしっかりしているので、本当に意外な組み合わせなどが面白くて、デザインするのも楽しみです。



②春日大社国宝館 「芸能の美・杜園の心 ―奈良近代彫刻の名匠、森川杜園生誕200年にちなんで―」~12/13まで 一般500円
 毎年6月に、奈良町にぎわいの家で企画している、近代を代表する彫刻家、一刀彫の名人、森川杜園。その杜園の素晴らしい作品が堪能できる、貴重な機会が、この度の国宝館での展示です。とても見やすく、解説も親しみやすく、大きな会場ではないのですが、杜園ワールドがぎゅーーーっと詰まっていて、長い時間、見ておりました。中でも、高円宮妃久子樣所有の「根付」の素敵なこと…。色は鮮やか、表情は豊か…ずーっとそこにいたい感じでした。中でも能を題材にした「融」と「白蔵主」の空気はなんとも。それと奈良町の世界遺産、元興寺の古材から作った香合があり、その緑色の発色がよくて…などなど。今回は根付のような小さな作品の存在感がきわだっていました。当館の二軒隣が杜園の家でしたが、その能舞台から出た鏡板、たまたま、春日大社に運び出す時に立ち会わせてもらいましたが、この松の形がとても良いんです…。立派な額に入って、どーんと会場をまとめていました。奈良町のアーティスト、森川杜園の仕事を見られるこの機会、どうぞお見逃しなく!

③福音館書店発行 「たくさんのふしぎ おんまつり」
 福音館の本は子育て中、どれだけお世話になったことでしょう。読み聞かせのための絵本はかなり買いました。もう読まなくてもよくなってから、大人も楽しめる月刊絵本「たくさんのふしぎ」シリーズはとても好きで、数年にわたって購読していました。たまたま、書店に立ち寄ると、え?!「たくさんのふしぎ」が「おんまつり」を取り上げている!ということで、もちろん購入です。「おんまつり」は演劇という、芸能の一ジャンルに関わるものとしては、古い芸能の姿を残す祭りとして、とても興味のあるものです。絵本にも、「田楽」「神楽式」「猿楽」「大和舞」などが描かれていました。そして雅楽。当時の最先端のショーですよね。こうしたことが毎年、続いているのですから、奈良こそは、演劇の発祥の地といえるのではないでしょうか。



というわけで、春日大社関連、三つお知らせでした。近くに来られる機会あれば、コロナ対策しながらも、鑑賞いただけたらと思います。