ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

奈良町にぎわいの家 こいのぼり

2020-04-26 | にぎわいの家・奈良関連
奈良町にぎわいの家の休館が5/31まで延長となりました。例年は、一番来館者の多い時期で、いつもなら、来館者参加型でこいのぼりを作ります。
今年は、スタッフがこいのぼりを作りました。以下、ご覧ください。

こいのぼりに願いを込めて   奈良町にぎわいの家

毎年、にぎわいの家では、皆さんに参加していただいて
制作したこいのぼりを、町家格子に飾っています。
今年の春は残念ながら、コロナ対策で、閉館となりました。
来年こそは、また、皆さんの願いを書いたこいのぼりが、
掲示できますように、そして、今の私たちを取り巻く状況が
良くなり、また再び、お会いできるようにと、今年は当館
スタッフがこいのぼりを作りました。
「つよく、やさしく」、いろんな困難が乗り越えられますよう願いをこめて…。皆さん、どうぞお大切にお過ごしください。







                 

奈良町にぎわいの家 蔵展示「前登志夫の世界~木々の声」より

2020-04-15 | 短歌
奈良町にぎわいの家は現在、5/6まで休館しています。蔵で開催中の前登志夫展ですが、5/26まで延期としました。現在、お家で過ごされる方も多いと思います。展示の様子を少し紹介して、前登志夫が歌った、山の空気を感じていただけたらと思います。(写真…前浩輔/歌意…喜夛隆子(歌人)



かなしみは明るさゆゑにきたりけり一本の樹の翳らひにけり『子午線の繭』
現代詩から出発した登志夫の第一歌集巻頭の名歌。 明るさのなかにすくっと立つ一本の木の一瞬の翳いに同化する、 いのちの根源的なかなしさ。

森出でて町に入りゆくしばらくは縞目の青く身に消えのこり『子午線の繭』
森にいる時間の方が長い作者は、森に差す陽光や風の匂い、 鳥獣の気配に包まれて野生の縞目を身に着けている。 その縞目は町に出てもすぐには消えない。




森ふかく入り来てねむる 青杉の梢を移る陽のひかり透く『繩文紀』
森へふかく入って眠っている。青杉の梢を移ってゆく透明な陽のひかりにつつまれて。

木を伐りしひと日の疲れいたはれば木伐りし森に月出づるなり『樹下集』
木を伐る仕事を終えた一日の身の疲れをいたわっておれば、その木を伐った山に月がのぼってきた。木も人も月のひかりに包まれる。



こんなにも木木たくましく在る日かな青葉の森にじふいち啼けり『落人の家』
こんなにも木々がたくましく存在する日、その青葉の森にジュウイチが啼いている。ジュウイチはカッコウ科の鳥、 慈悲心鳥ともいう。





前登志夫の世界~木々の声 4/2から奈良町にぎわいの家 蔵にて

2020-04-01 | 短歌
今年も短歌の師、前登志夫を偲ぶ展示イベントを開催します。
日本を代表する歌人、前登志夫は2008年4月5日に亡くなりました。
桜のころに逝去された先生。春は前登志夫を偲び、歌の力を新たに思う季節でもあります。いつもバタバタしていて、歌の世界から離れていますが、
この時期、こうした展示イベントをすることで、先生の歌や言葉はやはり、今の地球に!?とても必要だなと思います。前登志夫の歌とその思想は、世界の諸問題の核心を考えさせてくれるのです。なので、アーカイブを見て振り返る、文学史上の人物というだけでなく、もっと私たちの身近なところにあり、生きる力と知恵をその世界から得ることができればよいなと思います。そのためには、何かしらの「翻訳」が必要なのかもしれません。英語だけでなく、日本語の方面でも。
とにかく、先生のことを、短歌を知らない方たちも、わかりやすく広く、まずは見ていただけたらと、2010年より、展示や朗読、昨年は校歌コンサートも行ってきました。今年は原点にかえり、短歌二十首に(選歌は根来譲二さん、歌意は喜夛隆子さん…共にヤママユ)、長男、前浩輔さん撮影の奈良南部の写真を展示します。鮮やかな写真に思わず、目を奪われますが、どうぞゆっくり、歌の世界を鑑賞下さい。
なお、以下のチラシの前家の槇山も?!展示しています。
コロナウィルス関連でお出かけしづらいですが、展示企画は開催していますので、お近くまで来られたら、ご覧ください。尚、奈良町にぎわいの家は、玄関から奥まで、開けっ放しで、気密性もなく風通しもよいですが、くれぐれもコロナ対策に気を使いながらと思います。