ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

小町座公演「少年万博物語」&「小宮ミカの音楽」を終えて 

2024-10-05 | 小町座
ならまちセンターでのホール公演、無事終えました。小町座代表の西村智恵(アラフィフながら、今回も小学生を熱演!)のフェイスブックの言葉を以下、掲載して、御礼の言葉とします。
皆様、ご覧いだたきありがとうございました。(写真はリハーサル 撮影…河村牧子)

(戯曲の中で)就職で大阪に行く姉ちゃんが太陽の塔を作った岡本太郎について、博に言います。
「変でなくちゃ、あんなすごいもの作れないよ」
お芝居を作るのも「普通」に考えたら、とてもできないかもしれません。こんなに手間暇かけて練習し、舞台として作り上げて、しかも今回などはたった1日1公演だけのために!しかも無料で!私たち変なんです、きっと。
役者は、この物語の世界を伝えるために、試行錯誤しながら、お芝居を作りました。制作では、ホールをいっぱいにしたい!と、どこかしこ、出会う人に声をかけ、チラシを配りました。
でも、熱意を持ってやってると、応援してくれる人が現れ、初めて観てくれた方が「よかったよ!また観たいよ、声かけてね!」と声を届けてくれる。
そんなこんなで小町座、続けてこられました。
「変である」ことを恐れずに、大切にし、これからも奈良発のオリジナルの作品をみなさんにお届けしたいと思っています。応援ありがとうございました!ご来場ありがとうございました!



1970年万博の翌年。中学卒業の姉が進学をしないで大阪に働きに行くと…。


当時は、歌謡曲全盛期。大人も子どもも同じ流行歌を歌って。


小学生の万博(よろづ・ひろし)新聞配達や空き瓶の回収もしながら、歌と共に元気に暮らす。


博の憧れの転校生、花。変な博や様々な人物と出会い、「変」な顔の太陽の塔のことを考えるように…。


第二部コンサートは野坂さちこ(フサイフォン)がのびやかでパワフルな歌を四曲熱唱!(作詞…小野小町 作曲…小宮ミカ)


2021年の小町座「コロナ姫」のダイジェストを朗読。未来の壁に隔てられた世界を小宮さんの曲で彩られると…。


2007年製作の小町座絵本「いすものがたり」(文・小野小町 絵・川田葉子) いすがお母さんを探す物語。小宮さんの音楽がいすのドラマを創り出す!


9/29(日)小町座公演本番まで一週間!

2024-09-22 | 小町座
いよいよ、本番一週間前。別に私が出るわけでもないのに(あ!第二部のトークに少しだけ登壇します) 毎回、落ち着きません。本当に出演者たちはすごいなあ、度胸あるなあ、と感心します。が、演出と違う芝居になると、「え、違うでしょう。」と毎回うるさい私ですが、ここまで来ると、もうあまり言うこともありません。互いの細かい「間」や出入りのスピード感や、音楽との一体感など、そんなところです。
昨年公演した演目ですが、新メンバーとの共演で、パワーアップしています。またホール公演の楽しみは、照明!毎回、お世話になっている、㈱橋爪の寺坂さんの光、とてもいいんです。また、音響も楽しみ。何しろ、ピアノ演奏、生の音ですしね、歌や朗読と融合する感じ、どんなでしょう。
ぜひ、みなさん、見にきてください。

というわけで、やっとパンフデザインできたので、一部、紹介します。今回、第二部の歌は、小町座を立ち上げる前に作った歌もあり、この20年の子育て中の時間が、ぐーっと蘇ってきました。今でも息子は自分が幼稚園の時に見た、今回披露する「うさぎのうた」をよく覚えています。
この歌は、自分で言うのもなんですが、一番好きな歌詞で、丁度、短歌を初めて数年くらいの時に書いたものです。
この歌を披露した芝居は、幼稚園の子どもたちに見せたのですが、その内容は、月をゴミ捨て場にすることなり、ゴミのロケットを打ち上げた途端、月が消えてしまった、という物語です。月を取り戻すために、空に「泥団子」を投げるのですが、それを投げるのが、手が汚れるからと泥を触れない主人公で…と、まあ、幼稚園の子に見せるには複雑なストーリーに思えますが、実際は、ものすごく集中して三歳から六歳の子が見てくれたんです。そこにいた息子も二十代半ば。私も年をとりました。が、年をとると子どもの頃に帰る?!というのは本当かもしれません。子どもの頃、絵やお話をかいていた感覚がこの頃、ふうとやってくるような気がしています。いや、天国にはまだ早い!?

では、ぜひ、9/29、二時、ならまちセンターにお越しください。事前申し込みは komachiza.theater.com@gmail.com まで。
ただ、当日も空席ありますので、当日、行けそうだ!という方は、ぜひ、ならまちセンターまでお越しください。お待ちしています。






小町座次回公演!2024年9月29日です。

2024-08-18 | 小町座
小町座の次回公演はなんと無料!(共催…奈良市総合財団 奈良市ならまちセンター)
しかも、演劇とコンサートの二本立!

小町座・演劇&音楽企画  
第一部「少年万博物語」(午後2時~)、第二部小町座コンサート「小宮ミカの音楽」(午後3時~)

●日時…2023年9月29日(日)(開場午後1時半~) 
●場所…ならまちセンター市民ホール (奈良市東寺林町38 電話 0742-27-1151)
●無料 事前申し込み制 チラシ記載のQRコードまたはメール→ komachiza.theater.com@gmail.comからお申込みください。
●作・演出…小野小町 
●見どころ
第一部・演劇『少年万博物語』 
半世紀前の大阪万博の時代のドラマ。当時の流行歌をふんだんに取り入れ、当時を生きた少年と家族のドラマをキャスト四名が熱演。二役にも注目!
第二部コンサート『小宮ミカの音楽』
小町座は演劇やラジオ放送を通して、オリジナルの歌や曲を作ってきました。その作曲者、小宮ミカさんのピアノ生演奏に、歌や朗読をあわせてのコンサート。
●定員300名

というわけで、来年、万博の年に、70年万博を見られなかった少年、万博(よろず・ひろし)と家族の物語を稽古中です。小町座代表、西村の博役は、昨年の公演の感想で「ずっと小学生だと思ってみていた…。」→ほんとにそうらしいです…。それくらい当たり役かも!個性的なメンバーが当時の家族やユニークな登場人物に挑みます。
また、10年前から、奈良の小西さくら通りで流れている、奈良の方は耳にしたことがある「ならうたものがたり」(作詞・小野小町 作曲・小宮ミカ)も、小宮さんによるピアノ演奏に野坂さちこ(フサイフォン)さんの独唱で。また、2021年の劇「コロナ姫」はピアノの生演奏で全て、劇中の音楽としたのですが、そのセリフと音楽の再現など、盛り沢山!

無料、先着順ですのでどうか、お早めに申し込みください。よろしくお願いします。






2023小町座本公演二本立企画「きつねものがたり」&「少年万博物語」

2023-09-08 | 小町座
9月2日、3日と無事、終えました。おかげさまで、沢山の感想をいただき、小町座一同、励みになっています。ありがとうございました。
全く違うテイストの二本の短編、一人で複数を演じる小町座キャストは、自分の芝居の内容はもちろん、着替えの段取り等、大変で、本当に本番、いけるの?という状態でしたが、全公演、全力で駆け抜け、おかげさまで好評で、一同ほっとしています。

さて、今回は、詩人の上田假奈代さんからのレビューをまま、掲載します。上田さんは、大阪は西成の釜ヶ崎芸術大学の主宰者であり、堺アーツカウンシルのディレクターであり、多彩な活動をされています。アートや表現を「生きること」「暮らすこと」に結びつけ、創造することを共に楽しみ、共感する…。アクションし行動する詩人です。
そんな上田さんとの初めての出会いは35年前。まだ20代の私の芝居、大阪の阪急ファイブのオレンジルームでしていた頃、見にきてくれたのが始まり。
そして四年前、まさかの再会。それから、小町座の芝居を見にきてくれます。詩人ならではの言葉で書いてくれた、小町座劇へのレビューです。

小町座公演2023二本立企画
『きつねものがたり』&『少年万博物語』



ならまちの夏の陽射しの坂をくだる。
照りかえす光はかつて誰かを照らした。

「きつねものがたり」、「少年万博物語」のふたつの物語は「かつて」を思いこさせる。人の血のなかにある縄文の記憶、土の記憶、水の記憶、太陽の記憶。その時代の日常に漂う猥雑な記憶、凄惨な記憶、報われない記憶、甘酸っぱい記憶、夢のような記憶、しっぽの記憶。

前登志夫さんの短歌 
たましひは尾にこもるかな 草靡く青草原に夕日しづめる

小町さんはこの歌に取り憑かれ、稲荷に住む3姉妹のお芝居をつくった。
鄙びた稲荷。参詣する人もなく貧しい暮らし。感情が高まると隠せない末っ子の尻尾。友達は戦争で恋人を失った老婆。放たれる火。
新美南吉の「てぶくろをかいに」人間の存在について、空白のページで手渡される。
色は、青草で、赤い火で、雪のような白で。駆け抜ける稲穂のような狐色。
その前に。
末娘は「学校に行って、読み書きを覚えなさい」と言われたことを思い出す。
読み書きができないと本を読むことができないから。
いじめられる学校であっても、読み書きを覚えるためには通うしかない。ひきさかれそうな選択肢を前に、思う。
人生は不平等だ。
この芝居の奥深さをじわじわと、坂をのぼりながら感じた。

小野は、尾の、でもあるのではないか。
小野小町は、尾のこまち。
尾に、やどる。鬼かもしれない。
人間を射抜く鬼。

万博という名前を持つ男性がいた。
1970年生まれの彼は、10年程前に癌で亡くなったのだが、癌とわかってからの数年間、いのちを燃やし尽くした。特別なことを成し遂げたわけではない。病気を隠すわけでなく、仕事や日々の暮らしに向き合っていた姿は、芝居のなかの万博のお爺さんの姿に重なった。博もまた、そんな大人になるのだろう。

太陽の塔には、3つの顔がある。
背中のしっぽの位置かもしれない黒い顔。

それは、前登志夫さんも小町さんもわたしたちも、自らの見えない尻尾の縄文の記憶に揺さぶられて坂をのぼっておりる背中の向こうにいる太陽の顔だ。

また逢う日まで

尾崎紀世彦が熱唱するこの歌は別れの歌だというのに、高揚感があり、エネルギーが満ちてくる。いくつもの扉を閉めては開けて、閉めては開けて進んでゆく、そんな前をみつめて進んでゆくような時代だったのだ、と思う。

また逢う日まで!

それは誰に投げかけた言葉だったのだろう。

演じている役者たちは現在の市井の人々で、日々の暮らしのなかでこの言葉を飲み込むことになる。人生のなかにあった、無名の別れを。揺り戻され、越えてゆくしかなかった、数々の出会いと別れ。
もはや、70年の万博とは異なる様相の時代を生きている。
縄文時代の変わり目にも、縄文の人はそう思ったことだろう。
夕陽を沈めた地に、尾にこめたたましひを、尾の記憶を、わたしたちは手繰り寄せることができるか、日々の暮らしのなかに。

舞台は暗転して、平場にもどって、人生はつづく。                  上田假奈代 2023/09/06


きつねものがたり

少年万博物語

小町座次回公演 二本立企画「きつねものがたり」&「少年万博物語」

2023-07-15 | 小町座
小町座、次回公演の案内です。日程は以下です。
奈良市音声館
2023年9月2日(土)午後5時~
    9月3日(日)午後1時~と午後5時からの2回
2本立企画ということで、短編2本の公演をします。二本とも、当時の「歌」からインスパイアされて書きました。
①「きつねものがたり」
日本劇作家協会の戯曲アーカイブに掲載されていて、自由に読むことができる作品です。これまで、宮城と大阪の高校演劇でも上演されました。
奈良では、奈良演劇祭の招待公演と小町座10周年公演と2度、上演。今回は高校1年を含む新メンバーでの上演になります。
書いたのは、平成27年、今から8年前。世界を席巻したあの、アイドルかつメタルのユニット「ベビーメタル」をたまたま、テレビで見たのがきっかけでした。十代の少女が歌う平成ならではの「イジメ、ダメ、ゼッタイ」は、歌詞の時代への飛び方が絶妙で、そして演出は妙にアングラで、平成の煮詰まった閉塞感を、少女たちのメタルなダンスと歌声が、吹き飛ばしてくれるような。日本より世界公演の方が主で、華奢な少女のアイドルメタルに、世界の観客が熱狂しているのは、なんとも現代的で。そして、何より、私はベビメタに、小劇場のにおいを感じてしまった。これは書かなくては!
というわけで、平成の子育ての渦中に書いた本は、ブラックファンタジーになりました。かなり難しい芝居なんですが、ベビメタの音楽に負けないようにと、稽古を続けています。
②少年万博物語
まもなく大阪万博もあり、万博に関する話を書きたいと思っていました。こちらは新作です。といっても、大阪の話でなく、万博に行きたかったけど行けなかった少年、ヨロヅ・ヒロシの1971年の話です。当時は歌謡曲全盛期、小学生が当たり前のように大人の歌も歌ってました。今回の芝居とは関係ないですが、よく覚えているのは、大ヒットとなった「女の道」(ぴんから兄弟)を小学生が普通に歌ってたんですから。「わたしが捧げたその人に、あなただけよと、すがって泣いた。」これがその歌詞。これを小学生が歌うなんて、今なら目くじらたてられそうですが、本当に歌ってたんです。今回の主人公、博は別の歌を歌います。懐かしい歌ですので、ぜひ、一緒に口ずさんでください。
短編作品ですが、70年代に子どもだった、私自身の時代へのオマージュでもあります。ほんとに歌もテレビも面白かった。ちあきなおみの「喝采」も皆で歌ってました。そこから、なんとなく、大人の世界のニュアンスを感じていたのでしょう。今のように、その世代にしかわからない文化でなく、皆が一つの歌を口ずさむような時代ならではの「子ども」は、まるで大人のようでもあり、実際に、家で商売をしているところは、店先に子どもが立っていたし、配達や出前もして、家の役にたっていました。家の中での役割がきちんとあり、社会の一員として、子どもも、ある種、一人前に見られていたのです。今なら児童労働となる?しかし、そうばかりでない、家の仕事の手伝いから、学ぶものも多かったはずです。博もそんな一人。代表の西村が熱演します。ご期待ください。

短編とはいえ、全くカラーの違う作品、二本公演は、キャストにとってはかなり大変。いや…その割にまだセリフ入ってない!後一ヵ月半、どうなることやら…。皆さま、ぜひ会いに来てください。