ことのはのはね~奈良町から

演劇、アート、短歌他、町家での出会いまで、日々を綴ります。

テレビ放送お知らせ&ワークショップ

2016-09-22 | にぎわいの家・奈良関連
いよいよ奈良町にぎわいの家、全国デビュー?!です。
9/24(土)に、NHK朝のニュース番組「おはよう日本」と「ウィークエンド関西」でこのたびの展示が放送されます。
放送時間の目安ですが、いずれもNHKで
全国放送「おはよう日本」午前6時40分前後から1分半、
関西エリア「ウイークエンド関西」午前7時40分前後から6分間です。
生放送!にぎわいの家とアートのコラボを是非、ご覧ください。

そしてその展示作家、林和音さんのワークショップを本日開催しました。林さんの作品は「編む」方法で、町家の天井、離れ他、大きな空間を作り出しています。その「編む」ことを、皆さんと一緒にしました。布を裂いて、太い糸のようにしたものを、リリアン編みの要領で編んでいきます。このリリアン編みをする道具は、なんと、林さんのお父様が、作ってくださったとのこと。樹脂で作られている太いパイプを切断して、糸がかけられるように、突起を切り抜いての労作。今回、林さんの作品は、全館に渡りますが、その設営はお父様やその知人の方などが設置して下さいました。なんと、素晴らしいチームワークと思いながら、お父様制作の編み具に感心していました。本日参加の皆さんは、小学生から年配の方、編み物などしない男性の方も。皆さんの作品は10/1から展示しますのでお楽しみに。(下の写真の空間は、今回ワークショップをした十五畳の座敷。林さんの作品の下で、制作しました。)(「東アジア文化都市2016奈良市」「 古都祝奈良-時空を超えたアートの祭典」 撮影:木奥惠三)






奈良県大芸術祭参加「テイチクうたものがたり」稽古開始

2016-09-17 | にぎわいの家・奈良関連
奈良町にぎわいの家に関わることになった時、まず始めに思ったのは、奈良町関連の「人」をドラマにして発信したいなと思いました。当館すぐに一刀彫の名人、森川杜園の住まいがあったと知り、まずは杜園のはドラマを書けたらと思っていたところ、大津昌昭先生の「芸三職 森川杜園」という優れた小説に出会いました。これを構成して、昨年、市民の皆さんと朗読劇として発表しました。今年6月にも大津先生のお話と杜園の若き日に焦点をあてた朗読劇をしました。毎年、森川杜園企画は続いていきますので、注目くださいね。
さて、本日、朗読劇の稽古が始まりました。劇の内容は、テイチク。レコード会社、テイチクの黎明期のお話です。奈良町からすぐの京終エリア、肘塚町に、テイチク・本社工場がありました。今年、工場跡地は元興寺文化財研究所になりましたが、工場の建物を使用している部分も多いようです。
なぜ、テイチクか、というと…私より下の世代は、おそらく奈良にテイチクがあり、全国に流行歌を発信していたと知る人もあまりいないので、それは少し残念だと思ったのが一つ。もう一つは、私は懐メロが好きで、昭和の戦前の流行歌とか、歌詞もいいし、調子も良くて…。父が古賀メロディを良く聴いていたせいかもしれませんが、情緒があり、一方、ハイカラでお洒落で、時代の空気を濃くまとっていて耳に残ります。流行歌といっても、西条八十(詩人)などが詞を書いたりしているわけで、洗練された言葉を味わえますしね。
さて、そんな昔の歌が好きなので、今回、テイチクの戦前の歌を朗読の中に入れ込んで、楽しい音楽劇にしたいと思っています。脚本は、テイチクの創業者、南口重太郎の歩みを元に書きました。テイチクが創立50年に出した社史を資料に書いたのですが、この創業者、南口さん、かなりパワフルで、いろんな逸話が社史にもあり、それをつなげていくと、昔の「男の人」という感じを受けました。全部を引き受けて、まあなんとかなる、やろう!という感じ。昭和の初め、時代が今とは違い、開拓していく気持ちがとにかく強い、その強さの裏には、工場やそこで働く人への愛がある…。社史の証言からはそんなことを感じました。最も、戦前の経営者かつ、戦時中、生き残ったということは、きれいごとばかりでは生き抜けなかったでしょうが…。それにしても、古賀政男が書いている、南口社長のエピソードも面白くて、朗読劇で披露しますので、お楽しみに。
ところで、この朗読劇、女性七名で演じます。全く未経験の方から経験者も混じって、当時の歌も紹介しながら、お話を進めていきます。出演者の皆さんは、南口社長のことはもちろん知らず、テイチク奈良工場のことも知らない人も。森川杜園もそうですが、演じることで、時代や人物が自分の中に入っていく…そんな楽しみもあるかな?
いえ、実際の稽古は、きっと、また私はあれこれ、注文も多いことでしょう。昨年の森川杜園稽古の時、ちょっと飛ばし過ぎて私、息がきれてしまい…なんということ…と年齢をものすごく感じてしまいました…。本当に演出というか演技指導はものすごい体力がいります…。(世界の蜷川の怒鳴り声、どれだけ体力がいったことかと思いながら…。今年、鬼籍の人となり…本当に残念です。昔、西尾智子氏プロデュースで新神戸オリエンタル劇場で公演したころ、たまたま、そこで蜷川さんが三島由紀夫の芝居を公演なさっていて、後ろで見せていただきました。その時、舞台美術のきっかけが遅れて、やっぱり吠えておられました…。)
「テイチクうたものがたり」11/27(日)午後2時~3時 奈良町にぎわいの家の座敷で 無料。ぜひ、ご予定下さい。(画像は、テイチク社史『レコードと共に五十年』より』)
※南口重太郎氏について、何か知っておられる方、ぜひ、奈良町にぎわいの家・おのまで連絡下さい。


奈良町にぎわいラジオ 次回は9/17(土)11:00から

2016-09-15 | にぎわいの家・奈良関連
奈良町にぎわいの家では、ラジオ番組を月に一度、作っています。放送局が制作するのでなく、私たちで全て作っています。私は、二十代のころ、NHKのFMドラマの脚本他、書いていたのですが、小町座という創造集団を立ち上げる中で、4年前より、自分たちでラジオドラマ番組を作るようになりました。つまり、脚本、演出、選曲、編集全てするのです。2012年には、奈良県の記紀万葉プロジェクト支援事業枠で、ラジオドラマ「記紀万葉ファンタジア」を作り、これが近畿コミュニティー放送賞優秀賞を受賞しました。そんなこともあり、にぎわいの家でも作ろう!となって、月一回、放送しています。
「奈良町にぎわいラジオ」の内容は、にぎわいの家のテーマ、二十四節気の紹介と奈良在住の歌人、喜夛隆子さん(ヤママユ編集委員)に作っていただいた、オリジナル節気短歌の朗読に続き、後半は「奈良町びとボイス」というインタビューのコーナー。今回は、現在アート展示中の作家のお二人、岡田一郎さんと林和音さんにお話を伺いました。創作のヒント、鑑賞のヒントがいっぱいのインタとなりました。
さて、番組のナレーション担当は、当館スタッフの西村智恵さん。西村さんは、にぎわいの家のイベント担当ですが、元々、芝居の演者でもあり、太鼓を叩く音楽の人でもあり、いろいろマルチな活躍をする人。何よりもライブな感覚に優れてていて、海外のお客様に突撃インタビューなど、先月8月の番組も中々、楽しく進めてくれました。
今回も知らないうちに?!アートの感想をお客様にインタビューしてくれていました。また、彼女は番組の編集作業もこなします。こういうスタッフがいなければ、番組は出来ない…。施設発の独自の番組は、かなり珍しいと思うのですが。皆様、どうぞ、お聞き下さいね。
なお、BGMのピアノ曲は、奈良在住の小宮ミカさんのオリジナル曲。「奈良町にぎわいラジオ」は完全オリジナル番組、どこにもない「にぎわいの家」ならではの空気を、お伝えできればと思っています。
「奈良町にぎわいラジオ~四季のことのは」毎月第3土曜日11:00~11:30 ならどっとFM(インターネットからもお聞きいただけます→http://www.jcbasimul.com/)





なるちゃんバスケット

2016-09-11 | その他
お洒落なものは好きだけど、それに夢中になるほど、お金も時間もありませんが、時々行く美容室で、写真のきれいなぶ厚い月刊誌を見るのは、楽しみの一つで、そこから、今の洋服のラインや着物の感じを知ったりします。最新の婦人画報10月号に、あ!!と思わず目がとまるものがありました。それは「なるちゃんバスケット」です。誌面には美智子様と、幼稚園のころの浩宮様の写真があり、浩宮様が小さなバスケットを持っています。このバスケットが「なるちゃんバスケット」。「なるちゃん」というのは、浩宮様のこと。誌面にもあるように、この「なるちゃんバスケット」、当時、大流行したのだそうです。
これと同じようなバスケットが、実家にあります。万年筆のペンで「おのこまち」と書かれた、古い紙の入ったバスケット。そういえば、子どものころ母が「浩宮さんが持っていた」というようなことを言っていました。
母は早くから独り立ちした人で、洋裁の技術を見につけ、自分で身につけるものは全て自分で作っていました。当時、既製服が大量に出ていない時代、洋服は個別に仕立ててもらうものでした。プチ・オートクチュール!?今にして思えば贅沢ですよね。母は自分で作るので、当時流行のラインを取り入れて、中々、お洒落な服を作って着ていました。私は母が若い頃着ていた服が好きで、オーバーもコートも、今も持っています。大きなくるみボタンとか、すごくかわいいのですが、その服のラインを見ていると、お若い頃の美智子様の洋服に重なるものがあります。確かに、母も同時代を生きてきた世代です。上品なスーツやワンピース、いかにもお母さんがお出かけするといった感じの。このレトロな感じは今もとても好きです。
さて、「なるちゃんバスケット」もそんな母が私に買ってくれたもののようです。幼稚園にあがる前にはあったので、よく覚えていませんが、このバスケットを持つと、お出かけ気分になったのを覚えています。
婦人画報の誌面には、このバスケットの中に入っていただろう、お弁当が再現されていました。アルミの楕円のお弁当箱に三色弁当が入っています。美智子様が作られていたお弁当。なんて美味しそうなことでしょうか。
母の世代は、子どもの頃、戦時中で物がなくて、食べ物も服も十分になかった世代です。自分が家庭を持ち、子どもたちの着るもの、食べるもの、手をつくしてやりたいと思ったことでしょう。「なるちゃんバスケット」を持って、中にお弁当を入れて、母とおそろいの洋服を着ておでかけをする…。別段、裕福な家ではなかったですが、母の手が行き届いたところに、子どものころの時間があったことは、幸せだったと思います。
といって、自分がそのような丁寧なお母さんでいられるかというと全然で…唯一、ごはんだけはなんとか、しっかり作っていますが…。
なのに、バスケットに、母の時代の洋服に、今もひかれるのは、母の世代の「お母さん」のスタイルがなんだかいいな、ほっとするなと思うからでしょうか。スーパーの買い物袋もなくて、籐で編んだ買い物籠でお買い物に行く…。昭和は遠くなりにけり…。
(写真は、母が60年前に手に入れたバスケット。私の「なるちゃんバスケット」は実家に眠っています。)



にぎわい・アーティストトーク開催!

2016-09-10 | アート
本日、夕方から、東アジア文化都市2016奈良、ならまちアートプロジェクト、奈良町にぎわいの家「FLOW」展示作家の岡田一郎さん、林和音さん、そしてお二人をにぎわいの家につないで下さった、Gallery OUT of PLACE代表の野村ヨシノリさんのトークライブを開催しました。今回の東アジア文化都市…は、「古都祝奈良」(ことほぐなら)がサブタイトルです。ところが、この言葉、何のことだかわからないという声も。それで、少しはそのイメージがつかめないかな、と「言祝ぐ奈良」として、私が書いた詞章を、トークの始めに読みました。岡田さん、林さんの作品「FLOW」(流れる)にかけて、日本語の「ふろう」が出てくる歌のような詩のようなものを作ったのですが、読む稽古をしていると、私が「ふろう、ふろう」と言ってるので、岡田さんは、「小野さん、まさか不老長寿の不老?!」というので、「不老不死です。」と答えるという、なんだかギャグのような前振りもありました。流れ、ふろう、不老、浮浪、振ろう、など、英語のFLOWが、魂をふろう、まで行き着きました。それはあくまで、前座として…。
本番のトークは、中々、充実の内容でした。岡田さん、林さんの作品に対する解説から始まり、作っている風景なども紹介。岡田さんはにぎわいの家の井戸の作品がありますが、事前の調査に深さを測り、撮影のためのカメラをセットする台を沈め…。私たち、施設の者より、余程、当館の井戸のことを知り尽くして下さっています。会場から笑いが出たエピソードとしては、井戸に設置したカメラ撮影は、人が覗き込んだらダメなので、休館日の水曜日に設置して撮影したのですが、このところの不安定な気候で、雨が降らない日にあたるかあたらないかが、作品を作る上での至上命題?!で、よし、今日は天気だから大丈夫だと設置して帰ったところ、うちのスタッフが、井戸の蓋が空いているのを危険と思って、気を使い蓋をしてしまい、映像がとれてなかった…など、苦労話も披露して下さいました。また、林さんは、大きな「編む」作品ですが、一人で編むのは中々しんどい作業だが、それを現場で構成していくのはとても楽しい、と。まるで空間と共に作品が今、呼吸をし始め、大きくなっていくような…そんな感触を受けました。後、林さんのファンというご婦人の方が最後にお話して下さったのですが、林さんの作品を知ったのは、以前開催された「木津川アート」で、それから注目して、見にいくようになった。自分は芸術の専門家でも何でもないけれど、身近にアートを見るのは楽しいから、こういう場が沢山あったらいいなと思う、と感想を述べられました。
また、野村ヨシノリさんは、アートディレクターとして、奈良の現代美術の牽引者として、ラジカルな視点からのお話を。今回のアート展示も、あまりに知られていない、もっと交流し、広めるための努力が必要と。そして、野村さんの発言で印象に残ったのは、「必然」という言葉。沢山の地域発のアートイベントがあり、レベルも様々ですが、野村さんの言われるように、「必然」性があるものが残っていく気がします。となると、今回の「東アジア文化」という括りの「必然」は?という大きなハテナが残ります。国家事業であるのですが、本来は、文化から平和につながっていこうという気持ちがあってのものでしょう。ならば、やはり国を超えた交流の場であることが「必然」といえます。今回、ここが弱いということを、野村さんは指摘くださったと思います。また、当館事務局長の藤野さんも、にぎわいの家でなぜアートか、というあたりの経緯も説明下さり、ようやくこの展示の全体像も、皆さんにお伝えする場になったかなと思います。今日はトークのおかげで、夜の展示風景も味わえました。来月23日まで続きます。他の奈良町会場のアートも中々楽しいです。また、その感想は後日に。本日のトークの皆様、お客様、ありがとうございました。