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op's weblog

文字通りのログ。経験したことや考えたことの断片のアーカイブ。

今日のひとこと: いまさら「ハリウッド映画が終わってる」と言うのはギョーカイ内の人だけだと思うぞ

2023年06月19日 20時41分16秒 | Weblog
映画は死なない。でも、我々が夢中になってきた ハリウッド映画はもう存在しない。「ハリウッド映画の終焉」著者・宇野維正、1万字インタビュー(MOVIE WALKER PRESS) 

もうとうの昔にハリウッド映画云々どころか、映画館に行くことも殆どなくなった人間としては、普段読まない類の記事なのですが…

どんくさい僕が最初に決定的な違和感を感じたのはやはり『ダークナイト』(日本公開は2008年夏)です。米国の住宅ローンバブル崩壊と同時期に日本公開された、バットマンのリブート映画ですが、911、イラク侵攻等から結構経ったあの時期に、流行りの(何故か今もまだ流行っている)マットでダークな絵柄で「正義の味方のアメリカは悩んでいます」と。僕が国内の評論家さん達に煽られて恵比寿まで観に行ったら、やっていたのは高そうなスーツ着た白人中年が小学校の教壇で延々自慰行為見せる様な作品だったわけです。それでも当時日本で「今時こんな勘違い映画」と批判したのは、某経済学者ぐらいだったでしょうか。この方リフレ推進派なので本業の方は評価できませんが、この評価は的を射ていましたね。

米国のヒーロー物映画は、2年後の『スーパー!(Super)』によって正しいコンテクスト的には完結、終焉を迎えるわけですが、そんな事には関係なく、金かけてキラキラの、「ユニバーサル市場」向けにマーケティングされた娯楽(?)作品群は、ポップコーンや綿あめよりも徹底的に空虚でありながら圧倒的な資本と経済効率により、完全に「公開された金融商品としての映画市場」を完成させてしまいました。そして一旦オープンな金融市場としての「映画市場」がNASDAQの様に動き出せば、ファンコミュニティを含む映画市場が株式市場の様な特性を持ってゆくのは当然なわけです。

映画製作の主役が巨大資本のストリーミング事業者に代わり、コンテンツの主力も単発の映画から連続ドラマに代わってゆくにしても、(「ハリウッド取引所」の様な)グローバルにオープンな市場と、そこで高収益を狙う作品/金融商品である以上、「そこの状況」は変わらないでしょう。


一方で、いわばハリウッドを空洞化した一因でもあるテクノロジーは、個人レベルで高品質・大規模な映像作品をつくることをますます容易にしています。現代の共同幻想のふるさととして、テレビ同様映画を懐かしむようになり、知性の劣化スパイラルを加速し続けるマスメディアやSNSでの「経済効率」を狙った悲惨なコンテンツが圧倒する状況であっても、テクノロジーが可能にする「分散化・自動化・アーカイブ化」はギョーカイに背を向ける者たちがつくる「本当の次の時代」の道をしっかり舗装し続けています。

所謂既存の商業映像作品の中心的なテーマが「明確なプロパガンダ」になる時代が近づいていますが、次に来るだろう決定的に悲惨な時代をより深刻にするのも、逆に今までの例と違うものにするのも、「映画」同様テクノロジーであり、「本当にタフな連中」なのだと思います。


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