図書館の廃棄本 Reユースブック戸棚から貰ってきた古本
「被写体」 三浦友和 著 1999年7月 マガジンハウス刊
友和さんはご存知山口百恵さんの旦那さまである。こう言われることを彼は嫌った時期があると書いている。それくらい友和さんは俳優として大成した。13年前の本である。紙焼けも傍線なども無く上質紙のきれいな本であるが、わが市の図書館はもう廃棄本だ。本の置き場所が無いのであろう。
過日観た映画「ALWAYS三丁目の夕日’64」、いつも三丁目の夕日は観る人すべてを、心温まる昭和の世界に誘います。”という宣伝文にふさわしい映画だったが、彼は町医者の役で髭を生やして特別出演、役どころを得て好演していた。
今度は3月10日封切りの「おかえり はやぶさ」3D版に主演です。
本の内容は著者が4年ほどかけて、書き溜めていたものに手を加えたものである。
(プロローグには)”・・・原文は20年前のことから、その時々の感情を書きなぐったものであり、他人さまに見せられる内容ではない。そこには書いた本人の反省がかけらも無いからだ。・・”と、謙遜している。
(あとがき)には出版を依頼してきた”・・赤木さんの手紙には、物を書くということは固有名詞を出さなくとも必ず誰かを傷つける。もし書いてくれる気になったら、その分自分も傷つかねばならない覚悟が必要だ、という行(くだり)だった。・・・”
著者は出版を勧めながらも率直な忠告もある手紙が気に入って、他社の誘いを断り1年あまり、赤木さんに出版の価値があるかとワープロに整理した原稿を見てもらった。
赤木さんは出版社の社長、昭和60年頃は芸能誌「週間平凡」の記者で、友和夫妻を追いかけ回して敵対していた人。この人も「編者あとがき」を書いている。
ブログなど何かを書いて世間に公開することは、大胆不敵でまた恐れ多いことです。友和さんは立派ですね。この出版社社長の忠告をブロガーは自覚しなければと思った。
本の中味は生い立ちから、百恵さんとの映画共演、求婚、引退、子供の誕生、親との同居など家庭生活全般のエッセーである。
一貫したテーマは有名芸能人であるが故に、折からのワイドショー番組等が過剰なまでの取材攻勢で、プライベートな生活が脅かされる憤りを書いている。
”原題は「被写体からの風景」を出版社が改題し「被写体」になった。20年にわたる過剰なマスコミ取材の「被写体」の苦悩と戦いが、時には鋭い叫びのように、またあるときは淡々とした筆致で綿密に綴られている。”(赤木氏編者あとがき)
友和君の求婚に百恵は「ウン」と返事したと。百恵さんのよく売れて読まれた「蒼い時」も、数年前読んだ。わが市の図書館はこの本も既に閉架書庫に入っていた。先に貰ってきた半分は百恵論の
文庫本 「松田聖子論」 小倉千代子著 1996.10 朝日文芸文庫 と三冊を併読したことになる。
二人の息子さんも成人し芸能活動に入り、百恵さんはもう百恵菩薩であり、日本の理想家族の一家という感じだね。その旦那さんも良き家庭人だと分る本だった。
この春、大学生になる長孫が百恵ファンで読みたいというし、最後には在所の姉のところへ行くだろう、旅する本の一冊だ。自伝に類する本は無理なく読めるし、廃棄本にはちょっと惜しいかなという感じの本だった。