今日9月1日は防災の日ですが、この日は、大正12(1923)年9月1日に起きた関東大震災と、暦注の二百十日(立春から210~220日の頃は台風が頻繁に来ると言われている)にちなんで設けられたそうです。
震災での傷跡を、未来および今への教訓とするため、今日僕は一つの手紙を公開します。
これは関東大震災当時、僕の曽祖父が、横浜市に住んでいた弟から受け取ったものです。
随分前に、亡くなった祖父の遺品を整理している時に見つけたものですが、その当時の資料として多くの人に見てもらえるよう、いつかブログに載せようと思っていました。
ところが、2011年の3月11日に東日本大震災が発生し、沢山の尊い命が犠牲になってしまいました。それ以来、昔のこととは言え、被災の内容を伝える資料を出していいものかどうか、そして、この30年の内に起きるとも言われる首都圏や太平洋沿岸地域の大地震への不安を煽るだけではないかと、ずっと悩んできました。
しかし、改めてWikipediaなどで被害状況を知ると、ただ恐れているよりも、実際にどんなことがあったのかを知り、それに対して策を講じることのほうが遥かに大切だと思い直し、短い手紙ですが、今日ここに公開することに決めました。
以前、身内から聞いた話では、この弟さんは今で言う報道関係の人だったようで(新聞記者だったかも)、家族共々被災した様子と、震災の被害について書き送ってきたとのことでした。それを祖父はきちんと保管していたわけです。
一点、個人の住所と氏名が出ている部分にはモザイクをかけさせていただきましたが、他は写真の通りです。
それと、便宜のため今の言葉を使って書き取りましたが、読めない文字も一部ありましたので、分かる方はご指摘願います。
(※今わかっている関東大震災の被災データを見ると、実際にはここに記されているのは氷山の一角だったようです。
たぶん、そうした全体的な集計がなされる以前に、現状として手元にある資料を頼りに書いたのでしょう。
また、次の知恵袋での説明を読むと、この震災当時の1円は現在の600倍ほどの価値があったとのことです。
「大正時代の1円って今で言うとどのくらいの価値があったのですか?」)
(※この後に4枚、白紙のままの用紙が一緒に束ねられていました。もう、それ以上、言葉にできなかったんじゃないかと思います。)
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一枚目の欄外 : (文字の感じから見て、僕の祖父が記録したものだと思います)
(祖父の父の)弟、(**)の手紙 横浜在住
本文 :
大正12年9月1日午前11時50分、神奈川県、及び東京府の大震災の際、私は当時、横浜市浅河町**番地に居住しておりました。当日は私、勤め先の会社が休業につき、自宅にて一子**を相手に遊んでおり、妻は昼食後の片付けをしておりましたところ、それ地震だと言っている内に、家の中の道具は全部カラカラと砕け、私たち親子三人、裏口へ出るのに足を通して庭先へ転がり、そのまま庭で寝ておりましたが、家が裏口の方より転がってきました。
その時、私たちは生きている心持ちがありませんでしたが、その後は(気を失ったのか)少しも覚えていませんでした。後に、隣の主人が来て私たち三人を掘り出して助けてくれました。幸いにして私のみ少し怪我をしただけで、三人共、九死に一生を得て助かりました。
千葉県安房郡北條、鑛山(鉱山)、那古船形などに被震
全潰家屋、10808戸
半潰家屋、2413戸
焼失家屋、424戸
流出家屋、91戸
死者、1260名
負傷、3250名
その他、官公署・学校などは全部倒潰した。
損害、200万円以上に達した。
それから近所の空地へ出て来てみると、横浜市内は四方一面の火災となっていましたので、早速私は自宅の屋根をめくり、出せるだけの着物類や道具を取り出して空地に避難することになりました。
幸いにして火は、風上の程ヶ谷方面には火災がなかったので浅河町の一部分だけは残りましたが、市内の火はますます猛烈となり、3~4日は火のため市内は通行もできませんでした。
残り火は十五日頃、***(読めません)などの石炭(原炭)などは燃えておりました。道路は三尺か四尺くらいの口が開いておりました。また、火事のために飛び出してきた人が火に取り巻かれて、道路に死んでいる人が山の・・・
・・・
(以下、白紙のまま)
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北海道南西沖地震、阪神・淡路大震災、新潟県中越沖地震、東日本大震災、そして大型台風や今も傷跡の生々しい土砂災害・・・、いつ・どこで被災するか人智ではなかなかわかりません。
日頃から対策(減災・防災、各自できること)について考え、話し合い、行動できるように備えておくことが大切だと改めて感じます。
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