建交労長崎県本部

全日本建設交運一般労働組合(略称:建交労)長崎県本部のブログです。
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トラック運転手の月内賃金・一時金・退職金、低賃金構造の実態~建交労トラック政策②

2017年06月23日 09時42分31秒 | トラック政策

(1)月内賃金の実態~他産業と月額11万円もの格差

全産業水準の年収502万と比ベトラック業界の年収は普通運転手で372万と130万もの差があり、これは月額で11万もの格差があることになります。また、2011年(30人以上の事業所)の1時間あたりの賃金は全産業水準で2,126円であるのに比べ、トラック運輸産業では1時間当たり1,635円で491円も低くなっています(厚生労働省「毎月勤労統計調査年報」)。1991年調査では、全産業水準で1時間あたり2,291円であり、トラック運輸産業では1,730円で、20年の問に時間単価の低下が進んでいます。

厚生労働省の資料では、平成20年以降、全産業との格差は減少していることになりますが、労働時間の格差は広がっており、全産業に比べて年間450時間もの長時間労働をしながら、なお格差が生じているのが実態です。

 

(2)一時金・退職金の低さ

全産業とトラック運輸産業の年収の格差は一時金の年間支給額も大きく影響しています。トラック運輸産業の企業(10人以上)での2012年度の年間一時金の支給額の1人平均は287,000円であるのに対し、全産業平均(男女計)では1人平均590,0000円となっています。また、全産業の30人以上の規模(男女計)では757,000円です。全産業とトラック運輸産業では、年間一時金で303,000円(全体)、470,000円(30人以上)もの開きがあります。

生涯賃金で言えば退職金も含まれます。トラック運輸産業の退職金支給額は、30年勤続の定年退職で見ると578万円(運輸労連傘下102社平均、2010年調査)となっています。一方、全産業水準では1128万円(高卒・現業職、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者に支給実績、厚労省2012年調査)となっており、トラック産業は全産業水準の半額程度と推測できます。

 

(3)生涯賃金での他産業との比較

上記のように、全産業水準とトラック運輸産業では1時間当たり約500円、月間で約11万円、年間で約130万円もトラック運輸産業が低いことが明らかです。あわせて一時金の年間支給額も約50万円低く、年収べ一スで180万円もの格差があります。30才で入社して60才の定年退職まで30年の勤務をすると5400万円を超える大幅な格差が生じ、さらに退職金の差を入れると6000万円以上もの格差が生じることになります。トラック運輸産業に魅力を取り戻すとなると、これらの改善は急務の課題となっています。


トラック運転者(30歳代・勤続10年以上)なら誰でも年収500万円以上の獲得をめざそう~建交労トラック政策①

2017年06月22日 09時34分54秒 | トラック政策

1990年代、基幹職種である「大型トラック運転手40歳代年収700万への到達」は、それほど違和感なくトラック運転者の賃金目標として受け入れられました。しかし、1990年代後半からの15年間ほどの問、トラック業界の規制緩和推進と相まって、トラック労働者の賃金水準低下が急速に進みました。

1997~1998年にかけて運転手の賃金はピークに達し、それ以降下落の状態が20年近く続いています。大型運転手(男子)のピークは、1997年で年収約515万であったものが2012年には年収415万と100万円もの落ち込みとなり、普通・小型運転種(男子)は、1998年に約445万であったものが2012年には372万と70万以上の落ち込みとなっています(厚生労働省の賃金センサスより)。

こうした運転手の賃金の長期下落傾向のなかで、全産業水準との格差は拡大する一方なのです。ちなみに、2012年における全産業(男子)に対する大型運転手(男子)の賃金は88%ほどであり、普通・小型運転手(男子)のそれは74%ほどとなっています。

現在、建交労全国トラック部会は、2012年の全産業水準(男子:502万=国税庁調査)を念頭におき、現在最も多い普通運転手を対象に「トラック運転手は(勤続10年以上の中堅の運転手なら)誰でも年収500万円以上の賃金を!」をスローガンとした賃金政策を打ち出しています。


建交労中央本部ホームページ リニューアル

2017年06月21日 09時21分11秒 | 組合紹介

建交労中央本部のホームページが今月からリニューアルしました。

下記URLからご覧ください。

http://www.kenkourou.or.jp

建交労は、全国単一の労働組合で、全国に拠点を有し活動しています。

雇用形態に関係なく、誰でも、一人からでも加入できる、労働組合です。

働く問題でお悩みの方は、建交労(労働組合)という権利を手に入れられてはどうでしょうか。


建交労長崎県トラック部会を結成~トラック労働者の処遇改善・トラック経営環境を改善をめざす

2017年06月20日 09時28分16秒 | 活動報告

4月23日,建交労長崎県本部のトラックの仲間が結集し,建交労長崎県トラック部会の結成総会が開催されました。

長崎県本部は,2012年9月の第13回定期大会で,組織拡大の重点業種をトラック労働者とし,運動を進めてきました。おおとり運送分会,光洋商事分会と相次いで新分会を結成しましたが,両分会とも,組合つぶしを目的とした廃業・解雇撤回闘争に突入し,全国の支援を受けながら長崎県本部の最重点闘争課題としてたたかい続けてきました。

その後,光洋商事分会は,裁判に全面勝訴し,昨年9月に中労委で和解が成立しましたが,おおとり運送分会は,長崎地裁で不当判決を受け,高裁の判決を5月31日に控えています。組織建設の面では,後藤運輸分会の結成によって,新たな行動展開の展望も広がっています。おおとり運送分会の逆転勝利を実現するとともに,今後,組合員の要求を前進させ,地域で影響力を持てる組織の建設を進めていくために,長崎県トラック部会を結成することとなりました。

当日は,長崎の組合員だけでなく,福岡,佐賀,熊本,大分,鹿児島のトラック部会の組合員が駆けつけ,各地の取り組みの報告と,長崎への激励を寄せてくれました。

総会に併せて,全国トラック部会の足立部会長による学習会を開催しました。国内の物流の90%以上を担いながら,厳しい経営や,低賃金・長時間労働という厳しい労働環境となっていますが,環境改善に向けたトラック政策を中心とした要求闘争強化について学びました。

最後は,総会で選出された宮﨑延昭部会長の団結ガンバローで締めくくりました。

今回の長崎県トラック部会結成総会と学習会が,九州ブロックでのトラック部会の連携を強化し,トラック大運動の推進の契機となるのではないか,と誰もが確信した内容となりました。


おおとり運送分会の解雇撤回訴訟で福岡高裁も解雇有効の不当判決

2017年06月19日 16時40分34秒 | ハンドルを守れ

 オーナーの椎山賢治会長による,組合つぶしを目的とした,おおとり運送の廃業・解雇とたたかう長崎合同支部おおとり運送分会の裁判は,5月31日,福岡高裁で一審に続き解雇有効とする不当判決が出されました。組合員は,椎山会長らに露骨に肩入れした長崎地裁佐世保支部の不当判決からの逆転勝訴・早期解決をめざしていましたが,福岡高裁も,憲法で認められた労働者の権利よりも経営者の職業選択の自由(廃業の自由)を優先しました。

 判決では,解雇について「廃業したのだから仕方ない」という前提に立っており,実態を全く見ない,又,戦後の労働法の積み上げを否定するものとなっています。雇用の流動化政策の先取りともいえ,解雇の金銭解決の議論と相まって今後不当解雇を助長し,司法への国民の信頼も失わせるものです。

 中村分会長は,「おおとり運送を残そうと,廃業前から従業員一丸となって頑張ってきたし,廃業後も,自分たちは間違っていないと思って4年間たたかってきた。でも,司法に否定された気分だ」と率直な心境を吐露しましたが,「ここで終われば,椎山会長の廃業と解雇を認めたことになるし,酷い司法の状況も正されないままになってしまう。泣き寝入りはしない」と決意を語っています。

 労働契約法16条ができて以降,廃業を伴う解雇に対する最高裁の初の判断となるたたかいで,勝利をつかむよう,長崎県本部・長崎合同支部・おおとり運送分会は,最後まで奮闘します。