(1)月内賃金の実態~他産業と月額11万円もの格差
全産業水準の年収502万と比ベトラック業界の年収は普通運転手で372万と130万もの差があり、これは月額で11万もの格差があることになります。また、2011年(30人以上の事業所)の1時間あたりの賃金は全産業水準で2,126円であるのに比べ、トラック運輸産業では1時間当たり1,635円で491円も低くなっています(厚生労働省「毎月勤労統計調査年報」)。1991年調査では、全産業水準で1時間あたり2,291円であり、トラック運輸産業では1,730円で、20年の問に時間単価の低下が進んでいます。
厚生労働省の資料では、平成20年以降、全産業との格差は減少していることになりますが、労働時間の格差は広がっており、全産業に比べて年間450時間もの長時間労働をしながら、なお格差が生じているのが実態です。
(2)一時金・退職金の低さ
全産業とトラック運輸産業の年収の格差は一時金の年間支給額も大きく影響しています。トラック運輸産業の企業(10人以上)での2012年度の年間一時金の支給額の1人平均は287,000円であるのに対し、全産業平均(男女計)では1人平均590,0000円となっています。また、全産業の30人以上の規模(男女計)では757,000円です。全産業とトラック運輸産業では、年間一時金で303,000円(全体)、470,000円(30人以上)もの開きがあります。
生涯賃金で言えば退職金も含まれます。トラック運輸産業の退職金支給額は、30年勤続の定年退職で見ると578万円(運輸労連傘下102社平均、2010年調査)となっています。一方、全産業水準では1128万円(高卒・現業職、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者に支給実績、厚労省2012年調査)となっており、トラック産業は全産業水準の半額程度と推測できます。
(3)生涯賃金での他産業との比較
上記のように、全産業水準とトラック運輸産業では1時間当たり約500円、月間で約11万円、年間で約130万円もトラック運輸産業が低いことが明らかです。あわせて一時金の年間支給額も約50万円低く、年収べ一スで180万円もの格差があります。30才で入社して60才の定年退職まで30年の勤務をすると5400万円を超える大幅な格差が生じ、さらに退職金の差を入れると6000万円以上もの格差が生じることになります。トラック運輸産業に魅力を取り戻すとなると、これらの改善は急務の課題となっています。