私の音楽 & オーディオ遍歴

お気に入りアーティストや出会った音楽、使用しているオーディオ機器を紹介します(本棚8)。

Burmester & Sonus Faber 試聴会

2013年04月21日 | オーディオ
 地元の電気屋さんで行われた「Burmester & Sonus Faber 試聴会」へ行ってきました。

 Burmester(ブルメスター)というオーディオ・メーカーは初耳です。
 ドイツのハイエンド・ブランドらしい。
 ドイツというと「質実剛健」というイメージに陥りがちですが、その奏でる音は「柔らかく豊か」との説明。
 逸品館の試聴記事を覗くと「自他共に認めるヨーロッパ最高ブランド」「音質はクリーミーでリッチ」と記載がありました。
 
 Sonus Faber は私自身が「ELECTA AMATOR」というブックシェルフ型スピーカーを使用しているので馴染みのイタリアン・ブランド。
 今回は創業者のフランコ・セルブリン氏が会社を去る前に残した最後の機種「Elipsa」(’楕円’という意味)と、その後現代的な音造りに方向転換した最新の機種「GUARNERI evolution」の2つを聞き比べるという企画です。
フランコ・セルブリン氏は先日亡くなったそうです。すてきなスピーカーをありがとう。合掌。

 午前中の仕事が終わって一休みしてから出かけ、会場に着いたのは試聴会開始から既に1時間と大遅刻。GUARNERI evolution から Elipsa へスピーカーを交換している最中でした。
 「昔の Sonus」の ELECTA AMATOR と「新しい Sonus」の GUARNERI evolution の音の違いを確認したかったので、ちょっと残念。

 さて、Burmester CDP 061 - pre/power amp 035/036 - Elipsa という構成のシステムで一通りの種類の音源がプレゼンテーションされました。
 Sonus 得意のヴァイオリンはお約束のヒラリー・ハーン、それにメゾソプラノ(歌手の名前は聞き取れず)が続き、アルゲリッチのピアノ、ジャズ・ピアノ、オーケストラはオットー・クレンペラーのモーツァルトK550、最期にアンネ・ゾフィー・ムターによるチャイコフスキー・ヴァイオリンコンチェルト。

 やはり弦楽器の音色が絶品です。
 メゾソプラノの声もすばらしい。

 ただ、気になったのが低音の締まりが甘いこと。
 ジャズ・ベースの輪郭がややぼける印象あり。
 その点を指摘すると「確かにその傾向はありますが、まあ Sonus の特徴のうちです。」との答え。
 バスレフ式スピーカーなので「後面と壁の間を広く取ると改善しますか?」と聞くと「あまり変わりません」と残念なコメントでした。
 まあ、クラシック用の高級スピーカーでジャズを聴くな、ということでしょうか(苦笑)。

 2時間の試聴会終了後、4人ほどいた参加者が一部帰途につくタイミングで、持参したCDを聴かせてもらえました。
 私が持参したのは前日作成した試聴用CD-R



カルミニョーラのヴァイオリンをヴィヴァルディのコンチェルトで。艶やかに膨らんで魅力全快。高音も摩擦音を維持して決して金属的にはなりません。
アンドルー・マンゼのバロック・ヴァイオリンは①同様、弦を擦る音に艶やかさと豊かさを加えた魅力的な音です。
朝崎郁恵さんの「阿母」:あまりのリアルさに目の前で朝崎さんが私に向かって歌ってくれているような錯覚に陥りました。
※ 彼女は奄美の島唄の第一人者で、民謡以前の古来伝わる日本のうたを感じさせる時間を超越した’語り’を感じさせる希有なアーティスト。・・・この歌を聴くと涙が出てくるんですよねえ。
④ジャズ・シンガーの中で一番のお気に入りのステイシー・ケント。最新アルバムからセレクトした曲はフランス語で囁くように歌う大人の雰囲気に満ちています。ヴォーカルはこの上なく艶やかで素晴らしいのだけど、伴奏のベースの音が膨らんで音像がぼけてしまうことにここで気がつきました。
⑤シャンソンの新鋭で「エディット・ピアフの再来」と称されるZAZの曲。これは自宅のシステム(Mitsubishi 2S-305)とあまり違いを感じませんでした。


 独り占めすると待っている方に悪いので、ここで一旦終了。
 別の参加者が持参したCDをしばらく聴く間、展示してあるスピーカーケーブルを物色していました。
 10種類くらい並べてあり、「ナノテック・システムズ」というメーカーの「79」シリーズが複数置いてあるのが目に付きました。
 そのキャッチコピー「柔らかい音が好きな方へ」に俄然興味が沸きました。
 現在の自分のシステムではスピーカー Mitsubishi 2s-305 の高音が硬くて時に金属音に近くなることに悩んでいたのです。

 「音が柔らかくなると、音の腰がなよなよして魅力が減りませんか?」
 と少々意地悪な質問を店員さんにすると、
 「そんなことはありません。このケーブルでは情報量も多くなり音が柔らかく豊かになります。」
 との回答。
 ふ~ん、そうなんだあ。いいなあ。買おうかなあ・・・。

 というタイミングで他のお客さんの試聴が途切れたので、CD-Rの続きを聴かせてもらいました。

⑦澤野工房からジョバンニ・ミラバッシのソロピアノ。うん、美しい。
⑧同じく澤野工房からトニー・ナイソーのピアノ・トリオ演奏。う~ん、ここでもベースの音が・・・。
⑨ウィンダム・ヒルからウィリアム・アッカーマンのギターをセレクト。古い演奏・録音のせいか音の伸びと広がり感が今ひとつでした。自宅で聴いた方かいいかなあ、などと不謹慎な考えが頭をかすめました。
⑩言わずと知れたイーグルスの名曲「ホテル・カリフォルニア」。再結成時のライブ音源です。うん、この演奏も自宅のシステムとあまり変わらないかな。
スティングの「イングリッシュマン・イン・ニューヨーク」。このアルバムでは当時新進気鋭のジャズ・ミュージシャンを迎えての音造りで話題になりました。サックスのブランフォード・マルサリスの哀愁を帯びた音色とメロディーがたまりません。でも、この音源も自宅システム以上の魅力は得られず。
⑭シンセサイザー奏者、富田勲の名曲「惑星」からトリッキーな音造りの「水星」をセレクト。ステレオ感の確認に使ってます。え、Sonus でこんな曲をかけるなって? まあまあ。音は自宅システム以上とは感じず。


 ざっと聴いた感じでは、従来の Sonus のイメージ通り「弦とヴォーカルは最高」、でも「低音の締まりが甘く、オーケストラでは気にならないけどジャズのベースではちょっと違和感が」ということになりました。ポップスやフュージョンなどでも器楽・電気楽器中心では魅力は半減しそうです。

 以上、超高級オーディオシステム(総額500万円以上!)を満喫後、スピーカー・ケーブルを購入して帰途につきました。
 ナノテック・システムズの「G.S. #79 nano3」という品番です。感想は後ほど。

 コバデンさん、試聴会を企画していただきありがとうございました。