発達障がい・こころのやまい

専門外ながら相談を受けることがあり、その際に読んだ本や集めた情報を書き留めました(本棚9)。

抗うつ薬服用中の患者、車の運転を“解禁”

2016-12-06 06:12:57 | 抗精神病薬
 精神疾患患者と自動車免許・運転に関する記事を紹介します;

■ 抗うつ薬服用中の患者、車の運転を“解禁”―厚労省、注意事項順守で
2016年11月30日 新井哉・CBnews
 厚生労働省は、服用中は車の運転ができないとしてきた抗うつ薬について、医師が副作用に関する指導を行うなどの一定の条件を満たした場合、運転ができるようにすることを決め、製造販売業者に添付文書の改訂を指示した。関連学会から「患者の生活を奪う」と改善を求める要望が出ていたため、多剤併用を避けるといった注意事項を順守すれば運転ができるようにした。
 添付文書改訂の対象となった薬剤は、ミルナシプラン塩酸塩(商品名・トレドミン錠12.5mg、15mgなど)とデュロキセチン塩酸塩(同・サインバルタカプセル20mg、30mg)、ベンラファキシン塩酸塩(同・イフェクサーSRカプセル37.5mg、75mg)。
 これらの薬剤については、めまいや眠気といった運転に影響を与える副作用が発生する可能性があるため、これまでは車の運転をしないよう添付文書に記載していた。しかし、恩恵があるはずの治療薬によって患者の生活が奪われ、必要な治療を受けられずに症状が悪化したり、再発したりすることを懸念した日本神経精神薬理学会と日本うつ病学会が2014年1月、厚労省に添付文書の改訂を求める要望書を出していた。
 こうした要望を踏まえ、厚労省の薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会の安全対策調査会で、副作用の状況や医師が患者に確認する必要がある事項などを検討。厚労省は同調査会の審議結果を踏まえ、医師が患者に対して副作用に関する適切な指導を行うといった一定の条件を満たせば、運転が可能と判断した。
 厚労省は、添付文書の改訂に合わせて運転を希望する患者に関する注意事項をまとめた。それによると、医師が注意すべき点として、▽患者のうつ病などの精神疾患の状態が安定しているかよく観察する▽運転に影響を与える可能性のある副作用が発生することがあるので、患者の自覚症状の有無を確認する▽多剤併用処方は避け、必要最小限のシンプルな処方計画を心掛ける―といったことを挙げている。


 小児科医の私の視点から見ると、医師から処方される薬剤の添付文書には安易に「小児に対する安全性は確立されていない」と書かれていると感じています。
 「何かあったら製造メーカーの責任ではありません、処方した医師の責任ですから」と腰の引けた製薬会社のスタンス。

 例として挙げますと、「麻黄湯」という漢方薬は「乳児の鼻閉塞・哺乳困難」の適応があります。しかし麻黄湯の添付文書には「小児等に対する安全性は確立されていない」とはっきり記載されているのです。
 もう、その保身に徹する企業姿勢に呆れるしかありません。

 成人領域では花粉症に使用する抗アレルギー薬も問題です。
 「アレロック」(=オロパタジン)というベストセラーの薬がありますが、その添付文書には、「重要な基本的注意」として「眠気を催すことがあるので、本剤投与中の患者には自動車の運転等危険を伴う機械の操作には従事させないよう十分注意すること」と記載されています。
 すると、スギ花粉症治療中の患者さん(国民の3割?)は2〜4月は車の運転ができないことになります。
 他の抗アレルギー薬も右へならえ状態で、記載が無いのは「アレグラ」(フェキソフェナジン)と「クラリチン」(=ロラタジン)くらい・・・でもこの2剤の効果はそれなりなんですよね(^^;)。

 使用の実態を調査して、より現実的な記載に変えていただきたいと、切に希望します。

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